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認知閾

レベッカ・コスタは自身の著書の中で、認知閾に関して、「社会問題が高度に複雑化すると、人間の脳は社会問題への理解が追いつかなくなる『認知閾(いき)』という状態に達し、以下のような非合理な思い込みや行動に走る傾向にある。」と述べた上で、その例として下記のような行動を挙げた[1]。

  • 反対はするが対策はない
  • 個人に責任を転嫁して問題を解決したと酔いしれる
  • 怪しげな因果関係に飛びつく
  • 物事の原因が不明でも何か一つにこじつける(タブロイド思考と同様)
  • 緩和策や応急処置に満足し根本問題を先送りする
  • 題を細分化してより複雑にしてしまう
  • 行き過ぎた経済偏重行動をとる

翻訳者の藤井留美は、訳書『文明はなぜ崩壊するのか』のあとがきにおいて下記の例を追加した。

  • 何もしないことを罪悪視する風潮になる

また、レベッカ・コスタは分析するだけにとどまらず、認知閾に達して行き詰まった状態からの解決方法も提示した。問題の発生原因が、問題の当事者およびその当事者の属する集団にとっては把握できないため、このような認知閾状態を克服しうるのは、精緻な論理の積み上げではなく、大胆な「ひらめき」であるとしている。さらに、「ひらめき」により集団の認知閾状態を克服した例として、グラミン銀行のムハマド・ユヌスを挙げている。