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【ゆっくり解説】「哲学的剃刀」を集めて十徳ナイフを作ろう!!!!!!!!!!!

要約:

■ 1. 哲学的カミソリとは

  • 定義: 哲学的カミソリとは、思考を整理し、不要な概念や仮説を切り捨てるための論理的な思考法である。
  • 種類:
    • オッカムの剃刀(Occam's Razor):
      • 内容: ある事柄を説明する際、必要以上に多くの仮説を立てるべきではない。最もシンプルで説明できる仮説が最も正しい可能性が高い。
      • 由来: 14世紀のイギリスの修道士、ウィリアム・オッカムが提唱。当時の神学的な複雑な説明(例:地球が巨大な亀に乗っている)を切り捨て、近代科学の基礎を築いた。
    • ハナロンの剃刀(Hanlon's Razor):
      • 内容: 悪意で十分に説明できないことに悪意を見出すな。無能や怠慢の方が悪意よりも頻繁に発生し、事象の原因であることが多い。
      • 由来: ロバート・ハナロンが1980年に名付けた。
    • ヒュームの剃刀(Hume's Guillotine):
      • 内容: 事実と価値判断を完全に切り離す。事実(「〜である」)から論理的に価値判断(「〜すべきである」)を導き出すことはできない。
      • 由来: 18世紀の哲学者デイヴィッド・ヒュームが指摘。
    • ヒッチンズの剃刀(Hitchens' Razor):
      • 内容: 証拠なしに主張されたことは、証拠なしに否定できる。
      • 由来: ジャーナリストのクリストファー・ヒッチンズが用いた格言が、インターネット上で広まった。
    • ポッパーの剃刀(Popper's Razor):
      • 内容: 反証できない理論は科学ではない。どれだけ多くの証拠を積み重ねても絶対的な真理には到達できないため、いつでも間違いだと証明できる可能性を持つ理論だけを科学として認める。
      • 由来: 哲学者カール・ポパーが提唱。
    • グライスの剃刀(Grice's Razor):
      • 内容: 意味の説明は必要以上に多様化させるべきではない。余計な解釈を切り捨て、本質的な部分だけを残す。
      • 由来: 言語哲学者ポール・グライスが提唱。
    • セーガンの剃刀(Sagan's Razor):
      • 内容: 桁外れな主張には、桁外れな証拠が必要である。主張と証拠の釣り合いを求める。
      • 由来: 天文学者カール・セーガンが提唱。
    • 逆オッカムの剃刀(Reverse Occam's Razor):
      • 内容: シンプルな説明よりも、複雑でエキゾチックな説明の方が好まれるという、最近の科学界に存在する傾向。
      • 由来: 2022年にネイチャーフィジックスで論文として発表された。

■ 2. 「逆オッカムの剃刀」の問題点

  • 科学界の傾向: 最近の科学界では、斬新でエキゾチックな主張が注目され、単純な説明よりも好まれる傾向がある。
  • 具体例:
    • ストロンチウムルテニウムオキサイド: P波超電導というエキゾチックな仮説が20年間にわたり信じられたが、元の実験に問題があったことが後に判明した。
    • 非従来型超電導と磁性の共存: 誤りであることが判明した論文が、訂正論文よりも長期間にわたり多く引用され続けた。
  • 結論: エキゾチックな解釈は注目を集めるが、真実から遠ざかる危険性がある。

■ 3. 哲学的カミソリの活用法

  • 思考のツール: 哲学的カミソリは、論理や説明を整理し、思考を洗練させるためのツールである。
  • 注意点: 使い方を間違えると、論理が薄っぺらになり怪我をする可能性がある。