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感情で仕事をしない

要約:

■ 1. 意思(Will)と感情(Emotion)の切り分け

  • 意思(Will)の定義: 目標達成に向けた、能動的で持続的な力である。自分でコントロール・鍛錬が可能であり、仕事で最も重要となる。
  • 感情(Emotion)の定義: 外部刺激に対する、受動的で一時的な反応である。完全にコントロールすることは困難である。
  • 論点: 仕事において、感情に意思決定を委ねることはプロフェッショナルとして不適切である。感情的な判断は、長期的な利益を見失うリスクがある。

■ 2. 感情が仕事にもたらす悪影響

  • 意思決定の質の低下: 「ムカつくから」「気に入らないから」といった感情的な理由で判断すると、短期的な感情の解消を優先し、長期的な利益を損なう。
    • 投資家ウォーレン・バフェットは、感情を排除した合理的な判断を徹底している。
    • 感情的な意思決定は、良いアイデアを潰したり、キャリア形成に悪影響を及ぼしたりする。
  • 仕事のクオリティの不安定化: 気分に左右されて品質にムラが生じる。プロフェッショナルには、どのような精神状態でも一定のクオリティを維持することが求められる。
  • 周囲への悪影響: 感情は伝染する性質を持つ。機嫌が悪い人が一人いるだけでチーム全体の雰囲気が悪化し、生産性が低下する。特にリーダーやマネージャーは、感情をコントロールする必要がある。

■ 3. 感情を乗りこなすための「判断ハイジーン」

  • 判断ハイジーンの概念: 心理学者ダニエル・カーネマンが提唱した考え方である。意思決定のプロセスを標準化し、個人的な感覚や気分といったノイズを排除する手続きを指す。
  • 具体的な実践方法:
    • チェックリストの活用: 重要な判断をする際に、事前に定めた項目を機械的に確認する。
    • 冷却期間の設定: 重要な決定を即座に行わず、一晩寝かせるなど時間を置くことで冷静さを取り戻す。
    • AIの活用: AIを第三者の視点として利用し、自分の考えを客観的に検証する。

■ 4. 航海士としてのプロ意識

  • サーファーとの比較: 感情の波に瞬間的に乗り、行き先を波任せにするサーファーのやり方と、海図とコンパスを頼りにどんな天候でも目的地に向かう航海士のやり方を対比させている。
  • プロフェッショナリズム: 仕事では、顧客が期待する品質と納期を守るため、感情に左右されない安定した航海術(プロセス)が必要である。
  • 直感の位置づけ: 直感は感情とは異なり、経験の蓄積による反応である。しかし、判断ハイジーンにおいては、感情と同様に、直感のみで判断せず十分な分析や検証を行うべきである。

■ 5. まとめ

  • プロセスの重要性: 感情に左右されないためには、プロセスの力を信じ、それを設計し実行することが重要である。これにより、個人の技量や気分に依存しない、再現性の高い成果を出せる。
  • 最終的な目標: 感情を完全に排除する必要はない。しかし、意思決定のような重要な局面では感情が入り込む余地をなくすべきである。意思と感情を明確に区別し、冷静で合理的な判断を心がけることが、プロフェッショナルとして成功する鍵となる。