■ 1. パーソナリティ障害とは
- 定義: 人格の偏りによって、本人や周囲が苦しむ状態を指す。
- 特徴:
- 物事の捉え方や感情の表現が不安定で、極端に偏っている。
- そのため対人関係を築くことが苦手である。
- 背景: 脳の発達が一段落する14〜15歳頃までの発達障害特性が背景にある場合が多く、遺伝的な要因や後天的に培われたものがその上に重なってパーソナリティ障害が形成されると考察されている。
■ 2. 自己愛性パーソナリティ障害の特徴と形成要因
- 特徴:
- 1. 誇大性: 自身を非常に優れている、特別な存在であると信じている。
- 2. 賞賛欲求: その信念にふさわしい、あるいはそれを上回る賞賛や嫉妬を常に浴びたがる。
- 3. 共感性の欠如: 他者を見下し、共感することが苦手である。
- 形成要因:
- 過度な甘やかし: 幼少期から「あなたは一番だ」と過剰に褒められて育った場合、その認識が人格の基準となる。
- 遺伝的・身体的要因: 恵まれた容姿や体格、才能などが影響することもある。
- 自己評価の歪み: 本来、評価は他者がするものだが、自己愛性パーソナリティ障害の人は自分で自分を過大評価する傾向がある。その結果、根拠のない、ガラスのように脆い自尊心を持つ。
■ 3. 自己愛性パーソナリティ障害への対応
- 当事者の認識:
- 症状が軽い場合は自分で気づく可能性がある。
- しかし、多くの場合は自己の性格の延長線上にいると考えており、病院を受診することは少ない。
- 物質的な成功(高価な物や高級なレストランなど)を追い求めることで、自己の理想像を維持しようとするため、自己破滅的な行動につながることもある。
- 治療方法:
- 自己愛性そのものの治療を直接行うことは少ない。
- まずは高すぎる自尊心や、それに伴う不安などの二次的な精神症状を、薬物療法や精神療法でアプローチする。
- 精神状態が落ち着いた後に、自己愛的な部分について精神療法で取り組むのが一般的である。
- 周囲の関わり方:
- 本人は好きでそのような行動をしているわけではないという理解が重要である。
- 周囲が「度が過ぎないようにうまくやってあげる」ことが大切だが、双極性障害などの合併症があると逸脱した行動が増えることがある。
- 専門家への相談:
- 自分や身近な人が自己愛性パーソナリティ障害かもしれないと悩んでいる場合、専門家への相談が推奨される。
- 医師は当事者に「あなたは自己愛性だ」と直接的に伝えることはせず、本人が生きづらさを感じている別の理由(発達特性など)からアプローチする。
- ブレインクリニックでの対応: 視聴者が相談したい場合、ブレインクリニックで相談することが可能である。