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【ヤバいやつ程上に立つ】自己愛性パーソナリティ障害とは

■ 自己愛性パーソナリティ障害(NPD)の基本特性と表現型

  • NPDの定義: 誇大性、賞賛の欲求、共感の欠如が広範かつ持続的に認められ、機能障害や悲観的苦痛を引き起こすパーソナリティ障害の一種である。
  • 表面的言動: 自分の才能や業績を過大評価し、他者から特別扱いされることを当然と考える。望む扱いを受けられないと強い不満や怒りを表し、自己の目的達成のために他者を利用する傾向がある。
  • 内面的な側面: 外面的な自信とは裏腹に、脆弱さや劣等感を抱えている場合がある。
  • 誇大型NPD:
    • 特徴: 共感性の低さや自己顕示的な振る舞いが目立ち、対人面では対立や反社会行動など、問題を引き起こしやすい。
    • 主観的幸福感: 高い場合がある。
  • 脆弱型NPD:
    • 特徴: 一見謙虚や内気に見えるが、内心では他者を見下し、成功に嫉妬し、自分が理解されていないと感じて詐欺的になるなど、自己中心的で共感に乏しい点は共通する。
    • 苦痛の程度: 心理的苦痛や機能障害の程度が大きく、うつや不安などの症状を併発しやすい。

■ 共感性の欠如と発症要因

  • 共感性の欠如: NPDの核心的特徴の一つである。
    • 認知的共感: 相手の考えを推察する能力は比較的保たれているか、軽度の障害にとどまる場合がある。
    • 情動的共感: 相手の感情を自分も感じ取る能力は顕著に低下していることが多い。
  • 自己認識の歪み: NPDの人物自身は、自身の共感能力を過大評価しがちで、自分は人の気持ちが分かると誤解しているケースもある。
  • 発症要因(遺伝的・環境的):
    • 遺伝的要因: 近親者にNPD患者がいる場合、遺伝的に受け継ぐ可能性が指摘されている(特定の遺伝子は未解明である)。
    • 環境的要因: 幼少期の逆境的体験(劣等感と怒りにつながる)と過度な賞賛(自己万能感と批判への耐性のなさにつながる)という一見相反する教育環境が発症に関与し得ると言われている。

■ 有病率と治療の現状

  • 有病率: およそ1%と見積もられているが、本人に問題の自覚が薄く治療動機が低いため、潜在患者を含めると実際の数値はさらに高いと推測される。
  • 治療の難しさ: NPDの核となる症状を改善する薬剤が存在しないため、完全に症状をなくすことは難しい。
  • 治療法: 心理療法で長い時間をかけて症状の軽減を行うのが主な治療法である。
  • 予後と共存症: NPD患者は人生の挫折や対人関係の問題から、様々な精神疾患(特に脆弱型は自尊心の傷つきからうつ病など)を併発するリスクが高い。
  • 社会との関わり: 高度な自己顕示欲と野心からカリスマ的リーダーとして成功する者もいる一方で、共感の欠如から社会で孤立したり敵を作りやすい側面も持つ。

■ 周囲の対応と結語

  • 問題の所在: NPD患者の認知の歪みは幼少期の体験などに起因する場合があり、本人の元々の罪ではないが、社会生活には感情の共感という能力が必要である。
  • 他者への対応: 相手の考え方を変えるのは困難なため、NPDの人との関係においては、関わらないか、歩み寄るかの2択が現実的となる。