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ロジカルになりたいならとりあえず書かれてないことを読み取らない技術を身に着けろ

要約:

■ 1. 問題提起の事例

  • 元のツイート内容: IT系の勉強会が19時スタートが多すぎて参加できない。子育てしていると月1参加できれば良い方で、直近は3ヶ月以上参加できていない。オンライン参加も簡単ではない
  • 反応の分かれ方:
    • 参加しづらさに共感する意見が多数
    • 一部では「自分で開催すればいい」「わがまま」といった意見
  • 記事の目的: ロジカルでない・議論が苦手な自覚がある人が、文章の読み方の癖をなくすための第一歩を示す

■ 2. 文章に実際に書かれていないこと

  • 書かれていない内容:
    • 「主催者が悪い」
    • 「主催者は子育てする人に配慮すべきだ」
    • 主催者への要求や批判
  • 実際に書かれていること: 「参加できなくて苦しい」という弱音を述べているだけ
  • 類似の例: 「景気が悪くなっていく日本で仕事していくの不安だな…」という弱音ツイートに「じゃあ海外で働けば」とコメントするのと論理的には同じ

■ 3. 怒りの感情がロジカルさを奪う

  • 最悪の根源: 勘違い野郎を叩きたい、間違いを正したいといった怒りの感情が人を最もロジカルでなくする
  • 対処法: そうした感情を覚えたら、文章を一文字ずつ、10回くらい読み直す
  • ストレートな読み方: ありのままに読むと、ただの弱音に見える

■ 4. コンテキストの欠落と推測

  • Xの特性: 短い文章においてはコンテキスト(文脈)は欠落するもの
  • 読み手の役割: コンテキストは読み手が推測するしかない
  • ロジカルな人の読み方: 様々なコンテキストを想像する
    • 仮説1: 単純に弱音を吐いている → 論点は子育てしている人がどうコミュニティに関与し成長するか
    • 仮説2: 主催者や界隈の慣習を攻めている → 論点は主催者側や界隈による配慮の必要性
    • 仮説3(極論): 結婚や子育て自体を後悔している → 論点は子どもや家族をどう捨てるか

■ 5. コンテキストの絞り込みプロセス

  • 仮説検証: 「このワードやニュアンスが出てきたから、このコンテキストではなさそうだな」といった絞り込みをしていく
  • 最重要ポイント: 「この文章にはコンテキストが補われていないため、筆者がどのような意図でこの文章を書いたかはわからない」という認知を持つこと
  • 適切なコメント: 「真意はわからない」という前提で、最もストレートでローコンテキストな読み方をしたうえでのコメントになる(この場合は仮説1)

■ 6. バイアスと願望の正体

  • コンテキストを決めつける原因: あなたの中に眠るバイアスと願望
  • バイアスの例: 「子育てしてる俺は偉いと勘違いしてるやつが鼻につく」といった過去の経験
  • 願望の発生: 「この人もそうであってほしい、敵であってほしい、敵を倒して正義を証明したい」といった怒りをぶつけたい願望
  • 結果: 人は途端にロジカルでなくなり、どんなに頭が良いはずの人でも一瞬でバカになる

■ 7. バイアスへの対処法

  • 普遍性: バイアスは誰しもある
  • 訓練可能性: 訓練で抗うことができる
  • 具体的方法:
    • 1文字ずつ何度も読み返す
    • 色々なコンテキストを仮定して文章を読んでみる
  • 効果: 自己のバイアスをメタ認知し、ストレートな文章の読み方ができるようになる

■ 8. 書かれていないことを読まない能力の価値

  • 優先順位: 「書かれていることを漏れなく読み取ること」以上に、「書かれていないことを読み取らない」「文章をストレートに読む」能力が基礎的でありながら圧倒的に難しく価値がある

■ 9. ビジネスシーンでの実践例

  • Slackのやりとり:

    • 社長:「この四半期は、全部門が目標達成した?」
    • 営業部長:「うちは達成しています」
    • マーケ部長:「人事部以外は達成している認識です」
    • 人事部長:「そんなふうに蹴落とすなんて酷い!抗議します!」
  • 分析:

    • マーケ部長はコトに向き合い、ただ社長の質問に事実を答えただけ
    • 「達成していない人事部長は能力が低い・責任をとるべきだ」とは一言も書いていない
    • 人事部長は書かれていないことを読んでしまっている
  • 経営者目線の評価:

    • 保身的・主観的でロジカルでない人は全社の成長という高い視座でのストレートな会話ができない
    • コミュニケーションコストが高い
    • どんなに目標を達成して能力が高くても、安心して幹部を任せられない

■ 10. 実践的な効果

  • 日々の仕事での効果:
    • 周囲の信頼を得られる
    • 適切な判断ができる
    • 大きな成果につながる

■ 11. 「かもしれない」思考

  • 運転免許の教え: 「かもしれない運転」(あそこから人が飛び出てくるかもしれない)
  • ロジカルな読み方: コンテキストに対して「かもしれない」と思い続けること、自分のなかに暗黙的なバイアスがないか疑い続けること
  • 練習場所: Xのように文章が短くコンテキストが欠落しがちなテキストプラットフォームは、ロジカルな読み方をする練習にちょうどいい
  • 実践方法: 色々なコンテキストを仮説立てながら、燃えているツイートを読んで楽しむ

MEMO: