■ 1. 道徳の系譜学の概要
- 人に対する善悪の基準がゆがんでいる
- このままでは人は終末を迎えてしまうという主張である
- 道徳が作られた歴史から問題を語る本である
■ 2. 中心テーマ
- 道徳的に良いというのはただの弱さであるという主張である
- ニーチェは本物の善を教えてやると言いたいわけである
- 現在の善悪の基準はおかしいと批判している
- 真の善はルサンチマン(他のものに対する恨み)から作られた善だからであると主張する
■ 3. ルサンチマンの誕生
- かなり古い古代の時代の話である
- 貴族と奴隷として働かされているユダヤ人の構図があった
- 貴族の言い分:
- 俺たちは強い、弱い奴は俺たちのために働けというものだった
- 奴隷の感情:
- 本当にクソ嫌なのに反撃できない、恨めしいという気持ちを抱いていた
- この恨めしいという気持ちがルサンチマンである
■ 4. キリスト教道徳の成立
- ルサンチマンからキリスト教道徳が生まれた
- 成立の流れ:
- 反撃したいが現実には反撃できないという状況があった
- 貧しい無欲な人は善で天国へ行き、強い強欲な奴は悪で地獄に行くということにしようと考えた
- これがキリスト教とその道徳の成立である
- キリスト教道徳の効果:
- 働いている厳しい辛い状況という現実は変わらなかった
- 生きる目的がない、毎日働いて死ぬまで働いてそれでおしまいだという人生だった
- キリスト教道徳によって天国に行くために頑張るという目的ができた
- 現実は何も変わっていないが目的ができ、辛いことをすれば天国に行けるという考えになった
- 苦役に苦しむ人たちに生きる目的を与えた
■ 5. キリスト教道徳の勝利
- キリスト教道徳は完全に勝利を収め、非常に一般的になった
- 現代の感覚:
- 無欲な状態、謙虚な状態、従順な状態は良いものだと思われている
- 逆に金が欲しい、権力が欲しいという人はよくないものとされている
- この状態がキリスト教道徳が勝利しているということを示している
■ 6. キリスト教道徳の問題点
- キリスト教道徳に従えば欲を満たすのは罪である
- しかし人間の本能として欲があるため、なかなか無欲になれない
- 常に欲を満たすのは罪なのに無欲になれないため、キリスト教的に正しく生きることはできない
- どうせ幸せになれないなら人間はオワコンだとなってしまう
- この結果、人間が終末を迎えることになり、人間が滅びに向かってしまう
■ 7. ニーチェの主張
- このままでは人間が終末を迎えてしまうため、神に頼るな、ルサンチマンに任せるなと主張した
- 自分の欲に従い力を求めることこそが真に良い存在である
- そういう存在を超人と呼び、超人を目指せと主張した
■ 8. まとめ
- 現在良いとされている道徳は恨み(ルサンチマン)から生まれたゆがんだものである
- このままでは人は幸福を見失って滅びに向かう
- 今こそ自分の欲に従い力を求め、超人を目指すべきである