■ 1. タスク分解が難しい理由
- 目的・目標を具体的なタスクに分解するスキルを体系的に学ぶ機会が少ないにも関わらずできて当然と扱われている
- 大きな目的・目標とタスクの間には抽象度に大きな隔たりがあるため、いきなり具体的なタスクに分解しようとしてもうまくいかない
■ 2. アクションとタスクの定義
- アクション:
- 概念レベルの活動であり、何をするかを示す抽象的な行動である
- タスク:
- アクションを具体的で実行可能な作業単位に分解したものである
■ 3. アクションを明確にすることの重要性
- 効果的なタスク分解には、まず目標とタスクの中間に位置するアクションを明確にすることが大切である
- アクションが明確かどうかはそのアクションの完了条件が明確に言語化できるかどうかで判断することができる
- 完了条件が明確に言語化できない場合、アクションをより明確にする行動をとる必要がある
- アクションが明確にならないのは目的と現在地が明確でなく戦略がそこに存在しないからである
- つまりプロジェクトとしての体を成していないためアクションが明確にならない
- アクションが明確ではないと感じた時はアクションを疑うのではなく、その前段である目的・現在地・戦略を見直すと良いケースが多い
■ 4. アクションのプロジェクト化
- アクションが明確であればそこから具体的なタスクを考えるのは比較的容易である
- ただしアクションにも抽象度があることに注意が必要である
- アクションの抽象度が高い場合、アクションそのものをプロジェクト化して捉え直す必要がある
- つまりアクションそのものを目的として捉え直し、現在地を把握した上で戦略を考え、そのアクションを実現するためのより具体的なアクションを考えていく
- アクションをひとつの小さなプロジェクトとして捉え直すことで、より具体的なアクション、そして実行可能なタスクへと段階的に分解できるようになる
■ 5. 個人の場合のタスク分解の粒度
- 連続して作業できるならタスク分解の粒度はあまり重要ではない
- 自身が一貫して関わるためタスクの背景(アクション、目的等)を理解しているはずであり、多少粗い粒度であったとしても実行時に迷うことがないからである
- 作業が中断される可能性があるなら話は別である
- 粒度の大きなタスクに着手したものの途中で中断し一週間後に再開する場合、どこまで進んだっけ、次は何をするつもりだったっけと悩んでしまう
- タスクの細分化によりどこまで完了したかが明確になり再開時の迷いを減らせる
- しかしタスクの登録や更新といった管理コストが新たに発生してしまう
- 個人におけるタスク分解の粒度の問題は忘却を考慮した上でタスク再開時の迷いを避けるかタスク管理の手間を避けるかというトレードオフに帰結する
- 連続して作業できる時は粗い粒度のまま、それが難しい時は管理コストを受け入れてでも細かく分解するといった使い分けが良い
■ 6. チームの場合のタスク分解の粒度
- チームで行う活動の場合、タスク分解の粒度は成果物の精度に直結する
- タスクの粒度が粗ければメンバー間で解釈が分かれ期待と違う結果になりがちである
- 細かく分解すればやるべきことが明確になり期待通りの成果を得やすくなるが、その分だけタスクの管理の負荷が高くなってしまう
- チームにおけるタスク分解の粒度の問題は成果の確実性を取るか管理の効率性を取るかというトレードオフに帰結する
- このバランスをどこに置くかは自身とチームのレベル次第である
- 成熟したチームなら粗い粒度のタスクで問題ないが、経験の浅いメンバーが多い場合はより細かな粒度のタスクに分解する必要がある
- 小さなチームの注意点:
- 小さなチームであればあるほど管理コストを下げるために粗い粒度のタスクになりがちである
- これはメンバーが突然休んだ場合のリスクの増加を意味する
- 粒度が粗いタスクの場合、担当者しか知らないことが増えていき、担当者が休んだ際に他のメンバーがタスクを引き継ごうとしてもゼロからやり直すしかなくなってしまう
- この問題を防ぐためにも小さなチームであったとしてもある程度細かめの粒度(半日〜1日で終わる程度)にしておくほうが良い
■ 7. まとめ
- タスク管理が苦手という悩みの裏には目的と現在地が明確ではないがゆえにアクションが明確ではないという問題があることが多い
- まずは目的と現在地を明確にし、どのように物事を進めていくかを整理した上でアクションを明確にしていく
- ひとつひとつのアクションをプロジェクトと捉えるとタスク分解は比較的簡単に行えるようになる
- 最初は時間がかかるがこのような考え方に慣れていくと良い
- 自身やチームの状況を見つつ適切な粒度にタスクを分解していく