■ 1. 記事の要旨
- 対立軸を明確にすること つまり敵対関係を作ってしまうことを避けがちな人は多い
- ひとことで対立といっても色々あってざっくり言うと人間関係的な対立と仕事の内容や方法についての意見の相違がある
- 上手に対立軸を作ると論点が明確になるやゴールラインが明確になるや意思決定のスピードが早まるや曖昧な要件が減るなどのメリットがある
- 上手に対立を作るために大事なこと:
- 誰と誰がどう対立しているのかを早めに整理してその対立軸を周囲に明示する
- 話をその対立軸に限定して関係性の問題に発展することから隔離する
- 妥協点やどこまではどう譲れるかを早めに明確にする
- 意思決定の方法ないしラインを早めに明確にする
- 対立は単なる道具なので平和に過ごしつつ上手に対立を利用できるといい
■ 2. 対立を避ける傾向
- ある程度大きな組織になってくると喧嘩もあまり発生しなくなるというか そもそも対立の発生自体を避ける傾向が出てくる
- 筆者はシステム開発の仕事をしていてそこそこ大きな会社の仕事をさせていただくこともある
- ここは揉めそうというテーマには皆触れたがらないというか最初からそこを論点にするのを避けるというシーンはあちこちで見てきた
- 開発する側としてはそこが一番知りたいというか単に爆発するのを避けてるだけに感じてしまう
- 昨今ハラスメントに関する対応が厳しくなってきていることもあり皆行動自体がセンシティブになっている印象もある
- 上手に対立するということが苦手な人はなんだかんだで昔から多い
■ 3. 人間関係的な対立と仕事の内容や方法についての対立
- 一言で対立といっても色々な対立がある
- ざっくり言うと大きく二種類:
- 人間関係的な対立
- 仕事の内容や方法についての対立
- 前者を関係性コンフリクトと呼び後者をタスクコンフリクトと呼ぶ
■ 4. 関係性コンフリクトの例
- あの人とは合わない
- あいつの言い方が気に食わない
- あいつと一緒にエレベーター乗りたくない
- 要は人に属する対立で感情的な対立
■ 5. タスクコンフリクトの例
- この要件こうしたいって言う人がいるけれど俺はそうしたくない
- DBはOracleじゃなくてPostgreSQLを使いたい
- 我こそはvim派であるEmacs派は闇に飲まれよ
■ 6. 対立の種類に関する研究
- タスクコンフリクトは仕事を進める上で大概有益だがそれが関係性コンフリクトにはみ出してしまうとマイナスになる
- 対立の種類を関係性のコンフリクトとタスクに関するコンフリクトに分類する研究は昔からある
- 1995年のKaren A. Jehnの研究が有名
- 研究結果:
- 対立が有益かどうかは対立の種類とタスクの種類やタスク相互依存性やグループ規範といったグループ構造に依存する
- 人間関係衝突とタスク衝突は個人の満足度や他のグループメンバーへの好感度やグループ残留意向と負の関連を示した
- 非常に定型的なタスクを遂行するグループではタスクに関する意見の相違がグループ機能に悪影響を及ぼした
- 対照的に非定型タスクを遂行するグループではタスクに関する意見の相違は悪影響を及ぼさず場合によっては実際に有益であった
■ 7. タスクコンフリクトのメリット
- タスクコンフリクトには以下のようなメリットがある:
- 対立軸が明確になって自分たちだけでなく周囲の意見が明確になる
- どうやってこの対立をおさめないといけないかが自然と決定権や決定方法の明確化につながり意思決定のスピードが高まる
- 第三者が調停者や意思決定者として介入しやすくなる
- 取捨選択ごとのメリットデメリットが分かりやすくなる
- ここは対立が発生するからと曖昧になりがちになっていた要件が明確になる
■ 8. 対立があると分かりやすくなる
- まず何より対立があると分かりやすくなる
- 少年漫画とかやっぱ敵がいると話が分かりやすい
- どちらに感情移入するかどちらが強いかどちらが正しいか
- その辺絶対評価じゃなくて相対評価で考えられる
- ドラゴンボールで例えると悟空が一人で飯食ってるだけのドラゴンボールはただのニート漫画だけどベジータと戦い始めると超面白い
- 対立軸が明示されると周囲も自分の意見をまとめやすくなる
- 企画会議においてなにかいいアイディアが出たとしても周囲がその良さを理解出来なければ話は進まない
- しかし誰かがそのアイディアに関する悪さを指摘してくれれば状況は絶対評価から相対評価に変わる
- 悪い部分が分かれば良い部分も分かる
- そこから周囲に各々の評価を迫る
■ 9. タスクコンフリクトの効果
- 意見のレイヤーが鮮明になれば話はサクサク進むしその後有益な人間関係を形成することも出来る
- ただこういう対立って面倒くさい人にとってはとても面倒くさいことのでなんでもなあなあで済まされがちになる
- システム開発上当たり障りがないようになあなあで済ませている要件って100パーセント地雷でしていつか必ず爆発するものなのでそういう地雷を早めに処理できるというメリットもある
- 適切なタスクコンフリクトは仕事をうまく回してくれる
■ 10. コンフリクトのデメリット
- 対立軸を明確にすることにデメリットもある
- 最大のデメリットはコントロールを失うと関係性コンフリクトに発展してしまいやすいこと
- 人間は感情の動物だしこれはこれあれはあれという切り分けも苦手なので自分の意見が否定されれば嫌な気分になるし相手のことが嫌いになる
- そうなると仕事の話だけではなく色んなところで支障が出る
■ 11. コンフリクトをコントロールする方針
- 完全にこれという対策は正直存在しないと思っている
- 個人的にある程度やれると思っている方針:
- 誰と誰がどう対立しているのかを早めに整理してその対立軸を周囲に明示する
- 周囲もその対立軸に巻き込み個人対個人ではなく陣営対陣営の図式にする
- 妥協点や譲れるラインの検討は早めに行う
- 意思決定の方法ないしラインを早めに明確にする
- もちろん組織によっても場面によっても異なるので一概には言えない
- ポイントは個人から焦点を外すこと
- つまり誰かが悪感情のターゲットになってしまうのを避けること
■ 12. 個人から焦点を外す方法
- この対立はこういうポイントで起きていることだよねということを整理して飽くまで仕事上での意見の食い違いだよということを明確にする
- これは誰々さんも誰々さんも思っていることだよねというチーム分けを早めに実施して何々の急先鋒みたいな人を早めにそのポジションから降ろす
- どこが妥協点だろうというステージへの移行を早い段階で実施することで悪感情が誰かに向かうことを防ぐ
- 最終的に誰がどう決めるのかを早い段階で合意しておく
- 部長が決めるや多数決や第三者を入れるなどゴールを明確にすることで対立が延々と続くことを防げる場合がある
- 大体こういう方針で上手くいくことが多い
- もちろん毎度毎度上手にコントロールできるわけじゃないのでひーひー言いながら
■ 13. 具体例:仮想化ソフトウェアの移行
- ちょっと前色んなシステムで使われる某仮想化ソフトウェア会社が買収されてその仮想化ソフトウェアの料金がバカ高くなって一気に脱何々という話が盛り上がったことがあった
- その時もどのシステムをいつまでにどういう規模で移行するのかみたいな話をしなきゃいけなかった
- いざ始めてみると関係性コンフリクトがあちこちで発生してエラいことになった
- そこでなんとか対立軸を整理してチーム分けして妥協ライン決めてみたいなことをやっていて先日ようやくそれが納まってきた
- この記事を書いた直接的な原因がそれ
■ 14. まとめ
- 対立は使い方によっては役にたつ
- とはいえ対立は飽くまでツールだしみんなツールとして捉えてそれを関係性まで発展させない
- ということはポイントとしていえる
- いい感じに利用できるといい