■ 1. ストア哲学の現代的理解
- ストイシズムは苦難に耐えるための古代哲学として描写されることが多い
- ローマ皇帝や厳格な自己規律や感情の抑制を連想させる
- 歴史的イメージを剥ぎ取れば現代の心理学者が感情の調節とウェルビーイングに不可欠と考える教えに似ている
- 本質は感情を抑え込んだり人生に無関心になったりすることではない
- 思考や感情や外部の出来事と健全な関係を築くことが目的
■ 2. ストア哲学が目指す状態
- プレッシャー下でも安定した状態を保つ
- 挫折に直面しても柔軟である
- 不確実性の中でも目的意識を持ち続けられる考え方を育む
- ストイシズムに賛成する必要はなく心理的共通点に魅力を感じることが重要
- ストア哲学の思想が多くの人にとって直感的に正しいと感じられる理由を理解することが興味深い
■ 3. 心理学とストイシズムの共通点
- ストイシズムが長く存続してきた理由は人間の行動を注意深く観察して構築されたこと
- ストア派の哲学者は後に心理学が裏付けるパターンに気づいた
- 人は出来事そのものよりも出来事に与える意味によって苦しむ傾向がある
- 現代の心理学もこの見解を支持している
- 感情的な苦痛は自分に起こった出来事だけでなくその解釈によって形作られる
- 2人の人間が同じ批判や挫折を経験してもまったく異なる感情を抱えることもある
- ストイシズムはこの解釈のプロセスを管理する初期の枠組みを示した
- 人々に自分の判断を検証し感情的反応を制御し現実的に影響を与え得るものにエネルギーを向けるよう促した
■ 4. コントロールの二分法
- 最もよく知られたストア哲学の原則
- 自分がコントロールできることもあればコントロールできないこともあるという考え方
- 心理的苦痛はコントロールできないもの(他人の意見や偶然の出来事や過去など)をコントロールしようと時間と感情的エネルギーを費やすときに生じる
■ 5. 統制の所在
- 現代心理学ではローカス・オブ・コントロールという同様の言葉を用いる
- より内発的な統制の所在を持つ人(自分の行動が結果に意味のある影響を与えると信じる人)はストレスにうまく対処できる
- 不安やうつのレベルが低い傾向にあることが数十年の研究で示されている
- すべてをコントロールできると信じることではない
- 健全に機能するかどうかは自分の制御下にないことを正確に識別し非生産的な精神的努力をしないことにかかっている
- ストイシズムと心理学はどちらも感情的安定の礎として選択的注意を重視している
■ 6. 感情調節の本質
- よくある誤解はストイシズムが感情の麻痺を促すというもの
- 実際にはストア派の哲学者は感情が自動的に生じることを認めていた
- 彼らが訓練したのは感情の不在ではなく感情の統治
- 現代心理学も同様の区別をする
- 感情調節とは感じないことではなく感情に圧倒されたり支配されたりしないこと
■ 7. 認知的再評価
- 今日研究されている最も効果的な感情調節戦略の1つ
- 感情に及ぼす影響を変える形で状況を再解釈する能力
- 再評価を行う人はストレスの程度が低く逆境からの立ち直りも早い傾向がある
■ 8. ストイシズムと行動志向
- ストイシズムは受動性と誤解されることがあるが心理学的観点では行動志向型の哲学
- ストア派の思想は変えられないものを受け入れることと主体性がある領域でためらわず行動することを区別した
- 心理学も反芻と問題焦点型コーピングを同様に区別している
■ 9. 反芻と問題焦点型コーピング
- 反芻:
- 解決するのではなく苦痛を繰り返し思い返す行為
- うつや不安と強く関係している
- 問題焦点型コーピング:
- たとえ小さなものであっても状況を前進させる具体的な手段を特定する
- 行動志向型コーピングをデフォルトとする人はストレス下でもより有能感を持ち圧倒されにくい傾向
- ストア派思想の実践は今私に何が必要かという問いによってこの習慣を鍛える
- この問いは注意を感情の渦から逸らし目的のある目標指向的行動へと向かわせる
■ 10. 意味づけと心理的回復力
- 心理的に洗練されたストア思想の1つがアモール・ファティ(運命への愛)
- 抵抗することなく逆境を受け入れることを指す
- 現代の回復力の研究はこの考え方を支持している
- 意味づけに関する研究によると困難を人生の一部として考えられる人は長期的に回復力が強い傾向
- 意味づけしても苦痛はなくなったりしないが困難が脈絡なく無秩序なものに感じられるのを防ぐ
■ 11. 現代でストイックであることの意味
- 心理学的観点から現代においてストイックであることは質素なライフスタイルにしたり哲学的な文言を暗記したりすることではない
- むしろ習慣的な反応のパターンを反映している:
- 影響を与え得る事柄にエネルギーを集中させる
- 批判をすぐさま取り込むことなく解釈する
- ストレスに対して感情的な麻痺ではなく実践的な行動で応じる
- 挫折を成長の機会ととらえ直す
- これらは生まれつきの特性ではなく身に付ける習慣
- たいていの人は状況によってストイックな傾向を示すこともあるしそうでないこともある
- 最も重要なのは少しの忍耐と努力で誰もがストイック力を鍛えられること