■ 1. 記事の目的と問題提起
- 時間管理術を実践してもなぜか「仕事がスムーズに運ばない」「時間が足りない」「忙しさが解消されない」と感じることがある
- その原因は「扱う人の特性」と「時間管理術」の相性が悪いせいかもしれない
- どんなに効果が叫ばれていてもその時間管理術があなたに合っていなければただただ無駄な時間を生んでしまう
- 本記事では時間管理の王道とも言える「タイムブロッキング」と「時間管理のマトリクス」についてそれぞれの特徴・メリットとデメリット・向いている人向いていない人・そして向いていない人への代替となる時間管理術を紹介する
- この記事を読むことで自分の特性に合った時間管理術の選び方がわかる
■ 2. タイムブロッキングとは
- 「タイムブロッキング」は生産性とウェルビーイングのバランスをうまくとりながら作業に集中する時間を効果的に確保できる時間管理術である
- 1日をブロック(一定の長さの時間枠)に分け各ブロックにタスクを割り当てていくやり方である
- 1日の流れを事前に計画できればその時間は割り振られたタスクに集中でき仕事のやりすぎも防止できる
- この時間管理術は計画倒れや先送りを防ぎマルチタスクを防ぐ効果もある
■ 3. タイムブロッキングのメリットと向いている人
- タイムブロッキングがピッタリなのは予定通りいかなくても柔軟に調整できる人である
- なかでも複数のタスクを抱えて時間の使い方が曖昧になりやすい人・自己投資や学習の時間もしっかりと確保したい人・軸がないと会議や打ち合わせをどんどん入れてしまう人などが最適である
- 自分の集中力の「波」を自覚している人なら計画も立てやすい
- 朝型・夜型など自分のエネルギーが高い時間帯を知っている場合適切なタスク配分ができる
■ 4. タイムブロッキングが向いていない人とデメリット
- 完璧主義者の場合タイムブロッキングとの相性は最悪かもしれない
- たったひとつの予定がずれただけで「計画が全て崩壊した=自分はダメだ」と感じてしまうリスクがある
- 心理学の研究では完璧主義は「二分法的思考(白黒思考)」や「硬直性」と強く関連していることが示されている
- つまり「完璧かさもなくば失敗」という極端な評価をしやすい傾向がある
- 予期せぬ出来事(会議延長・急な連絡など)で計画が破綻することなど私たちビジネスパーソンにとっては当たり前のことである
- 柔軟な再配置が苦手な完璧主義者にとってこの時間術は大きな負担となる
- 細密スケジュールは「守れなかった自分」を毎日量産する原因となり自己肯定感を損なう可能性がある
- ただし「スケジュールを完璧に守ること」自体を目標にできるタイプの完璧主義者にはむしろタイムブロッキングが合う場合もある
■ 5. 完璧主義者におすすめの代替案:ピック・スリー
- 完璧主義な方にはFacebookの創業期メンバーで起業家のランディ・ザッカーバーグ氏が提唱する「ピック・スリー」がおすすめである
- 人生を構成する主要な5つのカテゴリーWork(仕事)・Sleep(睡眠)・Family(家族)・Fitness(運動)・Friends(友人)から毎日3つだけを選びその日はその3つに集中する
- ポイントは完璧主義を否定するのではなく「今日完璧にする対象」を3つに絞るという発想である
- 残りの2つは「失敗」ではなく「今日の完璧対象から外した」だけで明日また選び直せばいい
- こうすることで完璧を目指す欲求はそのまま満たしつつスコープを絞ってエネルギーを集中させることができる
- メタ的には「毎日3つ選んでそこに全力を注ぐ」というルール自体を完璧に運用することを目指せる
- 完璧主義者の几帳面さがむしろプラスに働く手法である
- ピック・スリーは学術研究に基づく手法ではなくザッカーバーグ氏自身の経験から生まれた実践的なアプローチである
- ただし「対象を絞ることで認知負荷を減らす」という考え方自体は心理学的にも理にかなっている
■ 6. 時間管理のマトリクスとは
- 日々やることが増えていくが時間は有限というこの状況をうまく運ぼうとするときに役立つのが「時間管理のマトリクス」である
- 時間管理のマトリクスとは重要度と緊急度を縦横の2軸にしてすべてのタスクを4領域に分類し優先順位を明確にしていく方法のことである
- 第1領域は納期直前・顧客からのクレームなど即時対応が必要な領域
- 第2領域は中長期計画・人材育成・技術開発など将来をつくる重要領域
- 第3領域は軽い電話・突然の来客対応など緊急だが重要ではない領域
- 第4領域は時間の浪費とも言える緊急でも重要でもない領域
- これにより限られたリソースを有効に配分し生産性を向上させられる
■ 7. 時間管理のマトリクスが向いている人とメリット
- 時間管理のマトリクスがピッタリなのは論理的思考が得意で「緊急」と「重要」の違いを冷静に見極められる人である
- 感情ではなく客観的な基準で判断でき分類作業そのものを苦痛に感じないタイプとの相性が抜群である
- タスクの全体像を可視化し優先順位の根拠を明確にしたい人にも有効である
- 特に「緊急対応」に追われやすく重要だけど緊急じゃないことを後回しにしてしまう自覚がある人ほどこのマトリクスで長期的な成果につながる仕事の時間を確保できる
- 研究でも人は重要なタスクより緊急なタスクを優先してしまう「単なる緊急性効果(Mere Urgency Effect)」があると示されている
- このマトリクスはその傾向を意識的に修正するのに役立つ
- ただしタスクが5から15個程度の中程度であることが前提である
- 多すぎると分類疲れを起こし少なすぎるとマトリクス自体が不要になる
■ 8. 時間管理のマトリクスが向いていない人とデメリット
- 私たちは日々大小さまざまな判断を迫られておりその判断は誰にとっても「判断疲れ(Decision Fatigue)」として蓄積していく
- 心理学者のロイ・バウマイスターらの研究により判断を重ねるほど意思決定の質が低下することが明らかになっている
- その疲れをより強く感じてしまう傾向の人もいる
- そうした「判断疲れしやすい」タイプの人にとってこの手法は相性が悪い時間管理術かもしれない
- 新たに降りかかるタスクを毎回「これは緊急か重要か」と判断して4領域に振り分けるという新たな「判断」が加わることになるからである
- 特にタスクが多い日は分類作業だけで脳のエネルギーを消耗し肝心の実行まで辿り着けない可能性がある
■ 9. 判断疲れしやすい人におすすめの代替案:Eat That Frog!
- そうした状況に陥らないためには最初の段階で迷いをなくしてしまうことである
- おすすめは「Eat That Frog!」という手法である
- 直訳すると「カエルを食べてしまえ」だがこれはつまり最も苦手なタスクや難しいタスクに最初に取り組んでしまおうという考えである
- それさえ完了してしまえば残りのタスクが楽になり1日中前向きで生産的なマインドセットを維持できる
- 先延ばし癖の克服や集中力と生産性を高めることストレスの軽減などに効果的だと説明されている
- 2020年に発表された心理学研究では難しいタスクを先に片付ける戦略が自己効力感を高めることが実験で確認されている
- 興味深いことに多くの人は「簡単なタスクから始めた方がやる気が出る」と予測するが実際には逆だった
- そして肝心なのは「最も嫌なタスクを朝イチで片付ける」というルールが固定されていれば判断疲れしやすい人の天敵である選択肢を減らせるという部分である
- 必要に応じて優先順位を入れ替えながらどんどんカエル(嫌・苦手な仕事)を食べていけばいいだけである
- ただしこの手法は「朝に集中力が高い人」を前提としている
- 夜型の人や朝にエンジンがかかりにくい人は自分のピークタイムに合わせてアレンジするとよい
■ 10. まとめ
- 時間管理術は万能ではない
- 効果が高いと評価されている手法でもあなたの特性と合わなければかえって時間を奪い自己肯定感を損なう可能性がある
- 柔軟に予定を組み替えられる人や自己投資の時間をしっかり確保したい人にはタイムブロッキング
- 完璧主義が強い人には「今日完璧にする対象」を絞るピック・スリー
- 論理的に優先順位を整理したい人には時間管理のマトリクス
- 判断疲れしやすい人には「一番難しいタスクから片付ける」Eat That Frog!
- 大切なのは自分の思考パターンや行動特性を理解しそれに合った時間管理術を選ぶことである
- 柔軟性があるのか完璧主義なのか判断疲れしやすいのか自分を知ることが最適な時間管理術を見つける第一歩である
- あなたに合った方法で持続可能な働き方を手に入れよう