■ 1. サルトルの背景
- 20世紀のフランスの哲学者
- 哲学科の大学教員としてドイツ留学を経験
- フッサールの現象学とハイデガーの存在論に強い影響を受けた
- ノーベル賞を辞退するなど同じ思想に安住しない姿勢を持っていた
■ 2. 実存主義の核心
- フッサールからの影響:
- 神のようなものは一旦置いておいて事象そのものから本質に迫ろうとする考え
- ハイデガーからの影響:
- 本質は無であるとして存在を基準とする考え
- サルトルが持った疑問:
- 「本質と存在のどちらが先か」(どちらが上位概念なのか)
- 現象学に則り本質を一旦無視して事象から考えた場合:
- 神のような本質概念を仮定すると本質は実存に先立つことになる
- 存在論に則り本質を無として神のようなものは完全にないとした場合:
- 実存は何にも決定されずに意味なくただ確立したことになり実存が本質に先立つことになる
- 神概念はカントの哲学で否定されており神という概念を作ったのは人間である
- 結論として「実存が本質に先立つ」という実存主義が確立
■ 3. 現代教育との関係
- 実存主義が現代教育の大元の基盤となっている
- 義務教育では実存主義の本筋部分は暗黙の了解として扱われる
- 信教や思想の自由という憲法に抵触する可能性があるため直接教えることは難しい
- 社会哲学的に応用した部分が一般化した形で道徳に導入されている程度
- 数学における例:
- 1+1=2はペアノの公理で証明されており人間が数学という情報体系でそう決めたもの
- 人間が決めたことをあらゆるものの基準として使っている
- 神概念は必要なく人間自身が考えた幻想として終わる
- 量子力学への応用:
- 実存が本質に先立つということは十分に情報が少ない領域では出力がシステムに先立つことがあってもよいということ
- 粒子の重ね合わせや相関性といった量子特性は何ら変なことではない
■ 4. 本質と存在の関係をわかりやすく
- 本質が存在に先立つ場合:
- まず世界があって自分という個人が存在する(神はいるとする)
- 世界がハードウェアで自分の認識も含めた存在性はソフトウェア
- 存在が本質に先立つ場合:
- まず自己認識の存在があって世界はそれに映し出された影のようなもの
- 自己認識がハードで世界がソフト
■ 5. 世界5分前仮説
- バートランド・ラッセルが提唱した哲学:
- 過去の情報について今現在のあらゆる観測事実から考えても連続性があると論理的に証明することは不可能
- 5分前に世界が誕生し全ての人がそれぞれ記憶を持って発生したとしてもそれを否定することはできない
- 過去と現在を本質的に結びつける論理手段は存在しない
- 結果を辿ることしかできずその原因に関して証明も反証も不可能
- 過去の世界は存在しないと仮定しても今現在の観測事実には一切何の矛盾も発生しない
- ラッセルのパラドックスとの関連:
- 「自身を要素として含まない集合からなる全体の集合を考えると矛盾が発生する」
- 理髪師のパラドックス:「自身の髪を切らない人全員の髪を切る理髪師の髪は誰が切るのか」
- 過去の世界は「過去の自分=現在の自分ではないもの」を含む全体集合になるため矛盾が発生
■ 6. 結論
- サルトルの金言:「実存は本質に先立つ」
- この哲学を1つのパワーワードにまとめて哲学史に永久保存を果たした