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仕事が「指示されたもの」と「自分で決めたこと」の意識を共存させる

要約:

■ 1. 主題:二つの命題の共存

  • 組織内の仕事においては以下の二命題が矛盾なく共存する
    • 全ての仕事は上司から指示を受けたもの(建前)
    • 全ての仕事は自分で決めたもの(実態)
  • 両命題は視点の違いによるものであり一見矛盾するが実際には矛盾しない
  • 二つの視点が揃わないと組織の中で仕事をする上で危うい
  • バランスを取るのではなく両方を十分に満たすように行動を組織することが求められる

■ 2. 「建前」の意識——全ての仕事は上司の指示

  • 組織の指示系統(課長→係長→チームリーダー→担当者)と権限委譲の建前を背景とする
  • 労使関係として使用者が労働時間・業務内容を管理するという建前が存在する
  • 実際には課員が自主的に判断して動いており「暗黙的な権限委譲がなされている」と見なされる
  • 明示的な指示がない場合であっても建前上は指示と権限委譲が存在するとみなされる

■ 3. 「実態」の意識——全ての仕事は自分の決定

  • 自由意思を持った個別の人格であるという実態を背景とする
  • 会社に在籍しているのは自分の意思であり究極的には拒絶・辞職が可能である
  • どんな指示であっても自分が正しいと認めたからこそ実行したという認識である

■ 4. 各意識の欠如による弊害

  • 建前意識が弱い場合:
    • 上司への相談・報告・決裁のタイミングを無視して独断で動く
    • 問題発生時に自分自身を防御できない
    • 役割分担の感覚が薄く本来引き受ける必要のない仕事まで抱え込む
  • 実態意識が弱い場合:
    • 「なぜそうしたか」に対して「○○さんに言われたから」としか答えられない
    • 作業の必要性・担当者・効率について疑い直す思考が働かない
  • 両方の意識が弱い場合:
    • 真面目に力を尽くしているにもかかわらず非効率な大量の仕事を抱え込む
    • 上司や他部署の担当者から責められる状態に陥る

■ 5. 職場環境が意識形成に与える影響

  • 建前意識が育ちにくい環境:
    • 上司からの指示・方針提示・権限委譲が明示的に行われない職場
    • 暗黙的な指示・権限委譲が存在するという認識を持つ契機がない
    • 放任主義の上司であっても「建前上は指示が存在する」という見方はほぼ不可能
  • 実態意識が育ちにくい環境:
    • 上司が日常的に事後的に成果物を否定し手直しを命じる職場
    • 「ダメ出し」の常態化により課員は実質的に自己決定権を奪われている
  • 最悪の環境(両条件が揃った職場):
    • 事前には「お前に任せる」と言い事後には「そうじゃない」と否定する上司
    • 「細かく指摘してやり直させること」を上司としての能力と誤認している
    • 当の上司自身が建前・実態の共存感覚を欠いているためこれ以外の方法を知らない

■ 6. 上司の責任と環境整備

  • 上司として必須の行動:
    • 方針・目的を明示する
    • 正確な粒度で権限を委譲する
    • 事前に質を確保することで事後のやり直しを制約する
  • 環境整備を怠った場合:
    • 職場外で建前・実態の共存感覚を身に着けた人材が入ってくる幸運を待つしかない
  • 環境整備を怠りながら「次のリーダー・マネージャーを担える人材がいない」と嘆く言は正当化されない