■ 1. ランドリーリストの定義と特徴
- ランドリーリスト(Laundry List)レビューとは、「〇〇(2014)はこう指摘した」などの記述が羅列される先行研究レビューの形式
- 特徴:
- 学者名を主語として始まる文章が多い
- 筆者自身の主張が薄い、あるいは存在しない
- 人の主張を羅列するだけで議論を欠いたレビューと定義できる
■ 2. ランドリーリストが生まれる原因
- キャリアの浅い研究者が先人の議論に対して恐怖心を抱くことが主因
- 偉大な先人の研究を崇高・緻密なものとして感じ、関与を避ける傾向がある
- 圧倒される感覚が適切な批判を妨げ、「この人が言ったことです」と距離を置いた記述になる
- レビューの作法を知らないことも要因の一つ
- 作法を習得しても、恐怖心を乗り越えることが別途必要
■ 3. ランドリーリストが問題とされる理由
- 議論が存在しないため、文章として機能しない
- 誰のどんな主張にどのような応答がなされるかが構築されていない
- 論文全体の理論的構造に貢献しない
- 単なる情報の集合体となり、読み手が何を読まされているのか不明になる
- 良いレビューがミステリーのように情報と謎を提示するのとは対極に位置する
■ 4. 良いレビューの書き方: ホストのイメージを持つ
- Kamler & Thompson(2014)は書くことをアイデンティティ構築の実践と位置づける
- 書き手がディナーパーティーのホストとなり、引用文献(ゲスト)の会話を仕切るイメージを推奨
- ファシリテーターやテレビ番組のMCのイメージが近い
- ホストとしての書き手の役割:
- 各研究者の主張を振り、それへの応答(引用)を書き手自身が行う
- 例: Aの主張が極端と感じ→Bで応酬→Cが未解決問題を指摘→Dの議論を応用→EとFの視点を織り込んだモデルを構築・実証する
- このような組み立てによってリサーチデザインの意図と重要性が読み手に伝わる
■ 5. 具体的なテクニックと根底にある考え方
- 引用表記を文頭ではなく文末の括弧内に置く
- 悪例: 「Wenger(1998)は実践共同体はアイデンティティの構築に大きな影響を与えるとしている」
- 良例: 「コミュニティで行われる様々な実践は、参加者のアイデンティティ構築に大きな影響を与える(Wenger, 1998)」
- この手法により文章がランドリーリストになりにくく、書き手の存在が前景化する
- 記述の工夫より根底にある論理展開が最も重要
- 様々な研究からどのような議論を構築するかが書き手の腕の見せ所