■ 1. 組織における「愚行」とルールの増殖
- 組織内には虚偽報告や不正行為など「愚行」を行う者が一定数存在する
- 具体例として、訪問回数の虚偽報告、発注書の偽造、アンケート結果の隠蔽などが挙げられる
- 「やらかす人」への対応としてシステム化・ダブルチェック・承認プロセスなどのルールが追加され続ける
- ルールは組織規模の拡大とともに増殖し、最終的に「融通の利かない大企業体質」が形成される
- 安全最優先の組織では厳格なルールが必要であり、ルールが一概に悪いわけではない
■ 2. ネットフリックスの「ノー・ルール」経営
- ネットフリックスは社員を縛るルールを極限まで撤廃している
- 休暇規定なし、出張旅費・経費の承認プロセスなし、意思決定の承認プロセスも存在しない
- 新しい試みを始める際は報告のみで上司の許可は不要
- 以下のあらゆる情報をオープンに共有する:
- 業績・財務情報
- 組織再編情報
- 社員の解雇
- チャレンジの失敗
■ 3. 自由の対価: 思慮深さと成果への責任
- ネットフリックスは「ルール」ではなく「標語」や「規範」を行動基準とする
- コミュニケーション規範:
- 率直な反対意見の表明とパフォーマンスへの指摘が求められる
- 「相手に面と向かって言えることしか口にしない」という標語がある
- 経費規範:
- 「ネットフリックスの利益を最優先に行動する」という規範のもと自己判断で購入する
- 自分の選択を説明するのにバツの悪さを感じる場合は購入を控え上司に相談する
- 成果を出せない社員は十分な退職金付きで解雇される
- 2014年に機密データ持ち出し事件が発生したが、過剰反応してルールを増やさない姿勢を維持
■ 4. 社員の判断力を信頼できる3条件
- 社員の判断力を信頼しルールなしで組織運営するためには以下の3条件が必要:
- 構成員の能力が十分に高いこと
- 報酬を十分に受け取っていること
- 規範が十分に浸透していること
■ 5. 「信頼」の本質: ルールより関心
- 筆者が通った校則のない中学・高校では逸脱行為はあったが多くの生徒はまっとうな大人になった
- 教師が生徒を「信頼」し知らぬ間に見守っていたことがその背景にある
- 社会心理学者・山岸俊男の定義:
- ルールや報復の可能性で相手を縛って得られるのは「安心」
- 不確実な中で相手の人間性を重視し受け入れることが「信頼」
- 相手を強く信頼する人ほど相手のことを注意深く見ているという調査結果がある
- 「愚行」の根源的問題は誰も当事者に注意を払っていないことにある
- ルールの強化・システム導入という統制手段だけでなく、構成員への興味・関心を強化して相互信頼関係を築くことが「ルールを減らす」本質