例外もあるけども、一般に学術雑誌出版にかかるキャッシュフローでは、研究者側は一方的に負担するばかりで、出版社のみに収入がある。
・原稿は研究者が無償で執筆する。
・査読は研究者が無償で行う。
・研究内容の編集は研究者が無償で行う。
・体裁整備などの編集は出版社が負担する。
・投稿あるいは掲載にあたっては、執筆者が出版社に支払う。
・購読するには(主として研究者である)読者が出版社に支払う。
労力負担は執筆も査読も編集も研究者側なのに加えて、金銭負担も研究者側は払うばかりで出版社の言い値で取引させられている。得られるモノは、キレイな出版物だけで、それは別に学術の価値とは無関係なものだ。
けれども、それでもこの状態は長らくそのままで、全然解決していない。その理由は、すでに構築されている出版システムがあまりに巨大であるがゆえに堅牢であること、さらに「正当性よりも正統性」というか、要するに先ほどと同じく「有名雑誌に掲載したい」という研究者側の「スケベ心」が完全に見透かされていて、出版社側に対して研究者側が一枚岩になって抗うことが出来ずにいるせいだ。
まぁ、業績評価の基準になるのだから仕方ないと言えば仕方ない。