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ないものを「見せる」ことに成功! 光で脳神経を操作

そんな光遺伝学の研究において、マウスを使った実験で、レーザー光線を脳に照射することで存在していない線をマウスに見せることに成功したという報告が発表された。

光遺伝学の原理は、簡単に説明すると、神経細胞の中に特定の波長の光(青いや緑色)で活性化するタンパク質を発現させ、ピンポイントに光を照射することで神経活動を細胞単位に自由にオン、オフできるというものだ。しかもその応答速度はミリ秒単位だという。

微生物からヒトに至るまで多くの生物種には、光で活性化するタンパク質があることが知られており、これらのタンパク質は光の刺激によってイオンを発生させる。

細胞内でイオンが発生すると、細胞内外のイオン濃度の差によって電位が生じ、神経細胞が活性化するのだ。このタンパク質は逆に細胞内のイオンを汲み出す作用をするものもあり、この場合は神経細胞の活動を抑制させる方向に働く。

研究者のDeisseroth教授は、同様の手法を用いれば、匂いや感触、味など他の知覚を人工的に作り出すことも可能だと語っている。

さらに、この手法を発展させていけば、より複雑なニューロンの集合体を制御することも可能になるだろうという。それはこの手法を使って、記憶を取り扱うことも十分に可能な話しということだ。