宇宙で最大規模の構造の1つを、天文学者らが発見した。複数の銀河の間に広がる、銀河の「壁」だ。少なくとも140万光年にわたる長さがあり、地球からの近さを考えれば、今まで観測されなかったことは驚くべきことだ。
科学者らによる国際研究チームが7月10日、学術誌アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)に発表した論文で、「サウス・ポール・ウォール(South Pole Wall)」の発見を報告した。この構造は、(地球から見て)宇宙の南端に広がるカーテンのようなもので、何千という数の銀河と、大量のガスと塵からできている。
今回の発見が特別なのは、地球から極めて近いところにあるからだ。サウス・ポール・ウォールは、地球からたったの5億光年しか離れていない。実はこの距離の近さが、これまで発見が困難だった原因でもある。サウス・ポール・ウォールは、天の川銀河のすぐ背後にある「銀河掩蔽(えんぺい)ゾーン(Zone of Galactic Obscuration)」と呼ばれる場所に位置している。天の川銀河の明るさによって、壁の存在が間近にありながら覆い隠されてきた。