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自然冷却でより安全に運用可能な「小型モジュール式原子炉」がついに規制当局から承認される

2020年8月28日、アメリカの民間原子力企業・NuScale Powerが開発する小型の原子炉が、アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)の承認を受けました。この小型原子炉が現場に投入されれば、従来のものより拡張性と安全性の高い原子力発電所が設計可能になるとのことです。

NuScale Powerが開発した小型モジュール式原子炉は直径5メートル・高さ23メートルの円筒形で、5万キロワットの発電が可能。NuScale Powerは、この原子炉を最大12基組み合わせることで、従来の原子力発電所に並ぶ出力が可能な発電所を建設できるとしています。

小型モジュール式原子炉の利点の一つは、各ユニットが保持する放射性燃料の量が少ないため、万が一問題が発生しても熱を取り除く量が少なくて済むことです。そのため、原子炉も同様に自動的に熱を管理できるように設計されています。

たとえば制御棒は、燃料棒を包み込んで中性子を遮断することで核分裂の連鎖反応を停止できる装置です。NuScale Powerの小型原子炉では、制御棒はモーターによって燃料棒の上に常に引き上げられている状態となっており、停電が発生したり電源が切られたりすると、自重でそのまま燃料棒の上に落下します。さらに内部のバルブにより、加圧された蒸気が原子炉内に排気され、冷却プールに沈められた鋼鉄製の外装から熱が放出される仕組みとなっています。

NuScale Powerがこの小型モジュール式原子炉の設計を当局に提出したのは2016年末のこと。しかし、新しいタイプの原子炉が承認されるのは非常に難しく、NuScale Powerは追加で合計200万ページもの資料を提出したそうです。そして、NuScale Powerが辛抱強く対応を続けた結果、NRCは「小型モジュール式原子炉の受動的冷却機能によって、必要に応じて原子力発電所が安全に停止し、緊急時でも安全を維持することが保証されると結論付けた」と述べ、小型モジュール式原子炉を承認したとのこと。

NuScale Powerは2020年後半までに、この小型モジュール式原子炉を実際の原子力発電所に配備することを目標にしていると述べています。