ブラウン運動とは熱を持った分子が振動する現象のことで、絶対零度以外の熱運動をする分子にみられる現象です。
もしこの分子のわずかな振動をエンジンのピストン動作に見立てて電力に変換することができれば、空気の温度そのものを電力源にすることが可能になり、既存の電池やバッテリーを置き換える全く新しい電力装置が誕生します。
鍵となったのは、電流を1方向のみに流す抵抗器(ダイオード)でした。
このダイオードを上の動画のように回路に「2つ」組み込むことで、グラフェンのランダムなブラウン運動から生じる電力を一方通行にすることが原理的に可能になり、結果として直流電流を発生させたのです。
また、ダイオードを使って電流の流れを制限することは、供給される電力を減らすのではなく、逆に増やしていたことまで判明しました。
今回の研究により、中央にグラフェンを据えた回路から無制限に直流電流を得られることがわかりました。
電力の供給源は空気温度であるために、装置は外部電力を必要とせず、長期間動作可能です。
電池やバッテリー交換の必要のない独立した永久電源は時計やペースメーカーにとって最適な存在となるでしょう。
分子運動を動力とする以上、出力は高が知れているような気もするのだが。