/note/science

軽量・安価・高エネルギーな亜鉛空気電池の「充電できない」という欠点を克服する方法を研究チームが発見...

今回、ヴェストファーレン・ヴィルヘルム大学物理化学研究所などの研究者は、これまでの空気亜鉛電池ではアルカリ電解質を用いて酸素から4電子還元により水酸化物イオンを生成していたところを、適切な非アルカリ電解質を用いることで、バッテリーが可逆的な2電子亜鉛-酸素/過酸化亜鉛を用いて動作することを示しました。

「適切な非アルカリ電解質」は疎水性で、正極の表面から水が排除されることにより、4電子還元が防がれるとのこと。

この取り組みにより生まれた新たな空気亜鉛電池は、最終的に亜鉛の負極は使用できなくなるものの、1600時間の充放電サイクルにも耐えたとのこと。

最大の問題は充電率にあり、充放電が1サイクルで20時間かかるという問題が残されているものの、炭酸リチウムを用いたバッテリーと比べて製造費用が4分の1で済むため、高速に放電する必要がない用途に役立つ可能性があります。

なお、この「適切な非アルカリ電解質」を用いる方法では、負極にマグネシウムやアルミニウムなど、亜鉛と同じように比較的安価な金属を用いても機能する可能性があるとみられており、それぞれの長所と短所のバランスが異なることから、研究者らはリチウムの供給を巡って競合することがなくなるという見方を示しています。