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熱音響現象/熱音響デバイス

Q.熱音響現象はどんな現象?

熱音響自励振動は古くから知られていた現象であり,気柱管の一端を加熱することで自然に発生する気柱振動を指す.一方,音波により多孔体の軸方向に温度差が生じる熱音響冷却現象が明らかになったのは比較的最近のことである.当初は流体力学の問題として研究がスタートしたが,1980年代後半からはもっぱら熱機関の観点から,定在波音波に関連する熱音響現象の基礎と応用研究が世界中で行われている.進行波音波に関わる研究は21世紀になってようやく始まったばかりであるが,新しいエネルギー技術として注目されている.

Q.熱音響デバイスとは?

熱音響自励振動を利用すると動力を音波の形で発生する音波エンジンが可能になる.音波を動力源とする音波クーラーも実現している.どちらも部品点数が著しく少なく,組み立て,維持管理も容易である.低コスト化も可能.廃熱利用,宇宙,砂漠,海洋での利用が期待される技術である.

Q.他との共通点、相違点は?

スターリングエンジンは圧力振動を伴う流体の振動運動を利用する点で熱音響デバイスと類似の熱機関である.スターリングエンジンは高い熱効率が特色の熱機関である.進行波音波を用いた熱音響デバイスは,スターリングエンジンの対向ピストンの代わりに音波を利用する点が異なる.