/note/science

安全性の高い小型炉は将来型原子炉として定着できるのか?

小型炉は炉心が小さいため、停電になっても困らない自然循環で炉心の冷却ができ、安全性が高いというメリットのため相対的に競争力が高くなった。また、静的機器が多くて安全性が高いことも社会のニーズに適っている。

  • 燃料交換不要:運転期間中に核燃料の交換が不要である。運転期間40年の場合、40年分の燃料があらかじめ原子炉に入っているから燃料交換が要らない。例えば4Sを途上国に輸出する場合には、原子炉にあらかじめ核燃料を入れたまま輸送して据え付け、40年の運転後に原子炉をそのまま持ち帰れば現地で原子炉を開ける必要がない。政治情勢が不安定な地域に輸出する場合に便利な設計である。
  • 制御棒がない:原子炉に制御棒がない。出力制御は原子炉の外の中性子照射に強いクロム鋼製反射体を上げ下げして行う[注3]。非常時にはこの反射体を重力落下させて原子炉を停止させる。反射体の周囲には燃料集合体が無いから隙間を確保する心配なく間違いなく落下する。これが「超安全」の理由である。しかも反射体には中性子照射に強い高クロム鋼が使われているから交換が要らない。
  • 自然対流で冷温停止可能:全停電になっても炉心は自然対流で冷温停止できる。だから全停電を防止するために2重、3重の対策をする必要性が全くない。どの地域に設置するにしても自然対流で冷温出来るというのは将来型原子炉の要件“避難不要な原子炉”の特徴を備えているとも言える。