/note/science

プラズマの中で光を30%加速させることに成功

プラズマに強力なレーザーを2方向から照射することで、プラズマ中の光の速度を調整することができたとの実験結果が発表されました。高温のプラズマと強力なレーザーの相互作用を明らかにしたこの実験結果により、レーザーなどで燃料をプラズマ化させて核融合を起こす慣性閉じ込め方式の核融合技術が大きく進展すると期待されています。

研究チームはまず、レーザーで水素とヘリウムのガスをイオン化させてプラズマを生成し、そこに2本目のレーザーを照射しました。そして、2本のレーザーが交差する部分の光の速さを測定したところ、2本目のレーザー光では水平方向の速度成分がプラズマの屈折率の変化に応じて減速していたことが判明しました。この減速は、2つのレーザーとプラズマの相互作用によって引き起こされたものだったとのこと。

さらに、研究チームが2つのレーザーの周波数を変えると、プラズマ中を進む光の速度を真空中の光速度の10分の1から1.3倍程度までの間で調整することができました。

今回の実験では光速を超える速さが観測されましたが、これは特殊相対性理論や光速度不変の原理といった既存の物理法則を破るものではないので、SFのような超光速の飛行や通信の実現につながるものではありません。とはいえ、高温のプラズマで非常に強力なレーザー光の特性を調整することができたという今回の研究の成果は、夢のエネルギーとされる核融合技術の向上や粒子加速器の改良など、最先端技術にさまざまな恩恵をもたらすとされています。

「これは特殊相対性理論や光速度不変の原理といった既存の物理法則を破るものではない」のは何故なのかが知りたいのだが。