6月18日にプレプリントサーバーである『bioRxiv』に掲載された論文、および7月8日に『AUTHOREA』に掲載された論文によると、魚は考える必要があるときに脳を大きくさせ、逆に使わない時には小さくできるとのこと。
最初の研究の対象となったのは、養殖場から逃げ出したニジマスです。
研究者たちは脱走から7カ月間、野生環境で過ごしたニジマスの脳と養殖場に留まっていたニジマスの脳を切り取って、重さを調べてみました。
結果、7カ月間の野生生活によって、元養殖ニジマスの脳は平均で15%も重量が増加していることが判明します。
また脳の部位ごとに大きさの違いを測定したところ、野生生活を送っていたニジマスは、特に「大脳(終脳)」の顕著なサイズアップがみられました。
人間の場合も、大人になってから脳内で新しいニューロンが作られることが知られていますが、その領域は記憶にかかわる「海馬」などに限られています。
しかし魚の場合、脳の全域で、大人になってからもニューロンが新たに作られていることが知られています。
そのため研究者たちは、ニューロンを新たに作る能力の違いが、状況に合わせた脳の大きさを作り出せる要因になっていると考えました。
頭のいい(脳重量の多い)個体が脱走したという可能性はないだろうか