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大林組、「宇宙エレベーター」実現へ材料検証進める

宇宙エレベーター構想は全長9万6000キロメートルにもなるケーブルを使い、地球と宇宙とをつなぐ。大気圏を突き抜けて伸びるケーブルを、クライマーと呼ぶ車輪の付いた昇降機が伝い、物資や人を運ぶ。

実現のための最重要要素の一つがケーブルの材料選びだ。候補となっているのが鋼鉄の数十倍の強度を持つとされるCNTだ。9万6000キロメートルの長さを支える場合でも、厚さは1.38ミリメートル、幅は最大でも4.8センチメートルで済む。

大林組は15年から宇宙にCNTを1~2年置いた時の影響を調べている。18年には国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」のある地上400キロメートル付近ではCNTが原子状態の酸素により損傷することを解明した。

一方、放射線などの影響はなかった。原子状態の酸素は地上約500キロメートルまでの大気圏だけに存在することから、石川洋二・上級主席技師は「高いところではCNTで問題がない」と指摘する。

大気圏でもCNTが使えるよう、現在は金属やケイ素で表面を保護したCNTを大気圏に置き、影響を調べている。金属は保護機能が高く、ケイ素は軽いのが特徴だ。損傷度合いを確認し、どちらが宇宙エレベーターに使うのに適しているかを見極める。

軌道エレベーターほどの超巨大構造物の定期的な保守点検・メンテナンスは考えるだけで厳しさがあるのだが、そこはどうするのだろうか。

そもそもケーブルの交換はできるのだろうか?