このカメラは、病気を診断・治療する医療用ロボットを使った内視鏡検査など、大きさと重量に制約を持つロボットのイメージング技術の向上など医療分野への活用に期待できる。他にも、スマートフォンの背面に数千のカメラを配列することで、背面全体を1つの巨大なカメラとして使うこともできるという。
電磁波を任意の方向に反射できる「メタサーフェス」と呼ばれるシート状の人工物質で製作しており、表面には小さな円柱状の杭が160万本埋め込まれている。この光学系と画像を生成する信号処理アルゴリズムを統合的に設計したことで高画質撮影を実現した。従来のメタサーフェスカメラでは実験室環境など特定の条件下でしか撮影できなかった。
メタサーフェスはガラスに似た窒化ケイ素をベースに形成されており、一般的な半導体と同じ製造方法が使えるという。このため、従来のカメラ用レンズと比べて低コストかつ大量生産できるとしている。
研究チームでは、自然光の下でもカメラの性能が高められるように、専用のシミュレーターを使って杭を設計。6枚の屈折レンズを組み合わせた従来のカメラ用レンズと撮影した画像を比較したところ、フレームの端が少しぼやけることを除き、同等の画質で撮れたという。