NASAのジョンソン宇宙センターにある「イーグルワークス研究所」を創設したハロルド・ホワイト氏は、発表した論文をもとに「ワープ・バブルの生成に成功した」と発表しています。SF映画に出てくるような「ワープ」を可能にする亜空間・ワープ・バブルを作り出したという主張に対し、天体物理学者のイーサン・シーゲル氏は「科学的な証明が不十分」だとして、主張の問題点を指摘しています。
しかし、シーゲル氏はホワイト氏が過去にEMドライブという宇宙船のエンジンについて物理法則に矛盾する内容を主張していたことを挙げ、「十分な裏付けなしに壮大な主張をする人物」だと指摘。「ワープ・バブルの生成に成功した」という主張についても問題点がいくつかあると指摘しています。
研究チームが示したのは、「カシミール空洞によって生み出された三次元的なエネルギー密度が、アルクビエレ・ドライブが必要とするエネルギー密度といくらかの定性的な相関関係を示したということであり、定量的な意味での一致はなかった」とシーゲル氏。また内容は実験的なものではなく、数値的に計算されたものにすぎず、「微視的な規模と非常にわずかなエネルギー密度の限定的なものであり、憶測や推測が多く、全てが証明されているわけではない」とも指摘しています。ホワイト氏の主張は将来的には証明されるかもしれない興味深いアイデアではあるとしつつも、シーゲル氏は「真実に近づきたいときほど、考えに対して懐疑的になるべき」だと述べました。