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CO2からリチウムイオン電池材料をつくる、SECカーボンはいかに技術を確立したか

話題となった技術はCO2を分解し、取り出した炭素で黒鉛を製造する。同志社大学発ベンチャー企業のアイ’エムセップ(京都市下京区)と18年から共同研究し、溶融塩電解技術でのCO2の分解に成功した。

コークスなど化石資源を使わずに黒鉛を生産できるだけでも脱炭素に貢献するが、CO2由来の黒鉛はリチウムイオン電池材料に適しており、引き合いが殺到している。

電池の充電性能向上は、負極材料の黒鉛粒子のきめ細かさが鍵となっている。SECカーボンの経営企画室の矢野賢氏は「CO2由来の黒鉛は、できあがった瞬間から粒子が細かい」と強調する。しかも不純物がない高品質な黒鉛であり、性能向上が期待できる。

SECカーボンは新たなカーボンリサイクルを自社の京都工場で始める計画だ。化石燃料の燃焼で生じたCO2を回収し、黒鉛を製造する。その黒鉛を採用したリチウムイオン電池を京都工場に設置。再生可能エネルギーの電気を充電し、操業に必要な電気を賄う。「CO2を減らしながら工場を動かす」(矢野氏)構想だ。25年までに試験機を稼働させ、30年には年1トンの黒鉛を生産する。

CO2から黒鉛を生産できるのか。

その黒鉛からダイヤモンドを作れば錬金術になりそう。