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「レーザー核融合」で歴史的成果が生まれた!実用化に向け研究加速

掲載されたのは、米国カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)が国立点火施設(NIF)で、2021年8月にサッカー場ほどの広さの設備で行った実験だ。重水素と三重水素でできた球状の燃料を内包した、「ホーラム」と呼ばれる金属製の筒に192本のレーザーを一斉に打ち込んだ。レーザーはホーラム内でX線に変換され、直径約2ミリメートルの燃料に当たりエネルギーが生じて点火に達した。具体的には、打ち込んだレーザーのエネルギーである1.9メガジュールの70%にあたる1.35メガジュールのエネルギーが生じた。

論文によると、反応により燃料から失われたエネルギーよりも、反応で生じたヘリウム4による加熱エネルギーの方が多かったことから点火に達した。想定される商用核融合炉では、反応で生じる中性子は「ブランケット」という部品に回収されるが、ヘリウムは燃料内にとどまる。このときとどまるヘリウムは燃料の加熱に寄与し、核融合反応で最初に起きる点火部からそれを取り囲む燃料部へ反応が連鎖していくことで、莫大なエネルギーを生み出す。