アルツハイマー病の患者の皮膚から作ったiPS細胞を培養し、認知症の状態を再現した立体的なミニチュアの脳を作ることに成功したと慶応大学のグループが発表しました。認知症が起きる仕組みの研究や治療薬の開発に役立つと期待されています。
グループは、アルツハイマー病の患者の皮膚から作ったiPS細胞を、培養液に含まれるたんぱく質「増殖因子」の濃度を低くした状態で培養しました。
すると、効率的に脳の神経細胞ができ、大きさが2ミリから3ミリほどある「オルガノイド」と呼ばれる立体的な細胞のかたまりができたということです。
この「オルガノイド」では培養から120日目にアルツハイマー病の患者の脳にたまる異常なたんぱく質、「アミロイドβ(ベータ)」が確認できたほか、培養の途中で認知症の発症に関わるとされる「タウ」というたんぱく質を作る遺伝子を入れると、患者の脳と同様に「タウ」がたまる状態を再現できたということです。