イリノイ大学シカゴ校(UIC)の研究チームが、産業分野で排出される二酸化炭素(CO2)をエチレン(C2H4)にほぼ100%変換できる手法を考案した。水の電気分解により生成される水素イオンと、二酸化炭素の電解還元により生成される炭素イオンを結合させてエチレンを製造するもので、二酸化炭素を含まない高純度のエチレンガスを得ることができる。研究成果が2022年9月9日に、『Cell Reports Physical Science』誌にオンライン公開されている。
UICの研究チームは、電気化学的にCO2を還元する電解還元法を利用して、C2H4を製造するプロセスに着目して、CO2との選択分離性の高い電解セルの開発にチャレンジした。メンブレンによって分離された2つのユニットの内、1つには水性溶液を、もう1つには回収されたCO2を満たした。銅メッシュの触媒を用い、電解セルに矩形型振動電圧を負荷することにより、水性溶液側で電気分解により水素イオンを、CO2側では電解還元により炭素イオンを生成して、水素イオンがメンブレンを透過し炭素イオンと結合することによってC2H4を製造することに成功した。この手法では、CO2をほぼ100% C2H4に転換できるとともに、高い選択分離性を実現してCO2を含まないC2H4を得ることを見出した。