特許の審査は,あからさまな永久機関を申請したら拒絶されるが,多少の自然科学についての記述の誤りがあってもそうそう拒絶はされない。たとえば,「水のクラスター」を小さくすると称する水処理装置の特許は多数あり,自然科学としては間違っているが,そのことを理由に拒絶はされていない。出願者の脳内自然科学に踏み込んで拒絶というのはなかなかのものではなかろうか。
この会社が持ち出す数値は,具体的な実験事実にも基づいておらず,社内には学部レベルの物理や化学の教科書を理解できる人材も居ない様子である。このため,具体的な数値を求めると,出てくる数値は,誰かの適当な思いつきで出したとしか思えないものが出てくる。
今回は,社会的に関心を集めているトリチウムの分離ネタだったので,おかしな特許を通してしまって商売されると影響が大きいことから,審査官がきっちりチェックして拒絶査定にしたのだろう。