この小惑星都市は、「オニール・シリンダー」(物理学者のGerard O'Neill氏が1970年代に提案した、回転するスペースコロニー)と呼ばれるアイデアを基本概念にしており、小惑星を回転させることで人工的に重力を生み出すという。映画「インターステラー」に出てくるシリンダー型のスペースコロニー、クーパーステーションをイメージするといいだろう。これは実に興味深いアイデアだが、巨大スケールのオニール・シリンダーを建設するのに必要な資材を宇宙に輸送するのは困難で、費用もかかるはずだ。
そこで、ロチェスター大学の研究チームはさらに大胆な方法を提案している。薄くて強度の高い、巨大なカーボンナノファイバー製の網で小惑星のがれきを囲み、円筒状の居住空間に変えるというのだ。この網は、アコーデオンのような構造になるという。
荒唐無稽な話のように思われるかもしれないが、Frank氏によれば、この小惑星都市を建設するための技術や工学は、物理の法則に従っているという。「われわれの計算に基づけば、直径300m(アメリカンフットボールのフィールドを数個並べたほどの長さ)の小惑星をこのやり方で拡張することで、約22平方マイル(約57平方km)の居住環境を生み出せる。これはマンハッタンとほぼ同じ面積だ」