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「一切交換の必要なし…」無限に充電し続けられるバッテリーの作り方が発見される

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究者たちは、未来のバッテリーの製造方法を変える可能性のある技術を発明した。永久的に使えるうえ、車や家庭の電源供給さえできるかもしれないバッテリーを想像できるだろうか。努力と幸運が結びつけば、将来のエネルギー消費に大きなインパクトを与える、驚くべき革新がいくつも生まれるかもしれない。2016年4月に『Energy Letters』に発表された論文やその後の報道によると、UCIの博士課程に在籍していた化学専攻学生のマヤ・レイ・タイ(Mya Le Thai)は、永久に充電を続けられる可能性のあるバッテリー技術を偶然に発見した。

研究室でさまざまな材料を試していたマヤは、あるとき、1組の金ナノワイヤを、非常に薄いゲルの層でコーティングした。この薄いゲルでワイヤを包むことにより、キャパシタのフィラメントは、数十万回の充電でもその特性を維持する。

UCIの研究者たちが開発した、この革新的な発明が実用化されれば、コンピューターやスマートフォン、家電製品、車、宇宙船などの寿命が大幅に延びる可能性がある。科学者たちは長いあいだ、バッテリーにナノワイヤを利用する試みを続けてきた。ナノワイヤは、人間の髪の毛の数千分の一の細さでありながら導電性が非常に高いうえ、電子の貯蔵や移動のための表面積が大きいという特徴がある。一方で、その微小さのために非常に壊れやすく、放電と充電の繰り返しに対する耐性がほとんどない。一般的なリチウムイオンバッテリーに使用すると、膨張してもろくなり、破損につながってしまう。

UCIの研究者たちはこの問題を、金ナノワイヤを二酸化マンガンのシェルのなかでコーティングし、それを「アクリル樹脂のようなゲル」でできた電解質で包むことによって解決した。この組み合わせは信頼性が高く、故障が起きにくい。マヤ・レイ・タイが発明したこの技術を使って研究チームが開発したプロトタイプは、3カ月間で20万回近くの充電に耐えた。実験の結果、電力や容量の損失はなく、どのナノワイヤも破損していないことがわかった。「常識では考えられません」と、UCI化学学科の学科長を務めるレジナルド・ペナーは述べる。「なぜなら、通常であれば、これらの材料は5000回または6000回、最高でも7000回を超えると、劇的に充電能力を失うからです」

UCIの研究チームは、ゲルによってバッテリー内の酸化金属が可塑化され、柔軟性が与えられることで、破損しなくなると考えている。「コーティングされた電極は、その形状を大幅に保ちやすくなるため、信頼性の高い選択肢になります」と、タイは述べる。「この研究は、ナノワイヤを使用したバッテリー電極でも長寿命を獲得できること、そして私たちはそのようなバッテリーを現実のものにできることを証明しています」

しゅごい