ダマスカス鋼の成分は既に判明していて、ダマスカス剣は現代技術だとだいたい再現可能です。
分からないのは、"それが以前と全く同じ技法であるかどうか"という部分。これは時間を遡るわけにもいかないので、証明出来ない。ただ、ほぼ同じものが再現出来ているからには、おそらくロジックの部分では合っているだろう。
●ダマスカス剣が作られなくなった理由
一言でいうと、いいカンジに不純物の混じった原料が手に入らなくなったから。 実はダマスカス剣の原料となるウーツ鋼のインゴット(塊)は、不純物を含んでいた。その不純物が偶然、美しい模様を形成するのに役立っていたのである。だから原料をとる鉄鉱石の鉱山が変わって鉄に含まれる不純物の成分が変わってしまうと、ダマスカス剣は作れなくなってしまう。
ダマスカス剣が優れている、という伝説は、日本刀に対する神秘性の信仰とよく似ている。ただ、あくまで伝説なので、あまりうのみにするのもどうかと思う。っていうかそんなメチャクチャ優れてる武器だったら、それ持ってる側の勢力が圧倒的戦力で勝てるよね。 ダマスカス剣は、中世の世界の中では優れたレベルだったのかもしれないが、現代の工業用の鋼のクオリティと比べてはいけない。十字軍の時代はヨーロッパよりアラブ圏のほうが文明レベルが高いので、十字軍戦士の持っていった剣がショボすぎて、余計にダマスカス剣が素晴らしく見えたのではないかと思う。