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「駆逐してやる!」とザリガニつぶす子も…「外来種駆除に子どもを関わらせたくない」指導員の本音

「本心としては外来生物の防除作業に子どもを関わらせたくない」。自然を守るために地域に根ざした活動を行う自然観察指導員の率直な投稿が、ネット上で話題を呼んでいる。投稿者は野草愛好家としてメディアへの出演経験もある川井希美さん。近年、子どもたちへの手軽な環境教育として盛んに行われている外来生物の駆除活動だが、どんな問題があるのか。川井さんに投稿の真意を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

「『子ども向けの外来生物駆除』の話をいただいたけど、本心としては外来生物の防除作業に子どもを関わらせたくない。害があるから駆除って短絡的で、駆逐してやる! って言いながらアメザリを潰す子もいた。外来生物の防除をするよりも、子どもにはたくさんの生きものと触れ合う自然体験をしてほしい」

今月3日、川井さんがSNS上で行った投稿は、900件を超えるリツイート、4000件以上のいいねを集めるなど話題に。「『外来種は悪いもの』って、本来そんなに簡単に教えられることじゃないよね」「悪いのは外来種ではなく持ち込んだ人間」「『生き物を大切に』と『外来種は殺しましょう』って矛盾を教えるのは至難の業」といった共感の声が多数寄せられている。

「結局、子どもに外来種駆除をさせることが環境教育になると思い込んでいるんです。子どもを関わらせることが良くないとは言いませんが、駆除することが目的となってしまっているのはどうなのか。メダカやコイの放流がよしとされていた時代もあって、環境教育もどんどん考え方が変わっていくので、その都度アップデートしていかなきゃいけない。まずは身近な在来種を知ってもらい、外来種問題とは何かを考えてもらう。関わらせる以上は、形だけでなく適切なことを教えていくことが大切ではないでしょうか」

生き物を大切にすることと外来種駆除では、伝えるメッセージは正反対だ。環境教育において、このダブルスタンダードはどう解消していくべきなのか。

「外来種問題に携わっている人って、本来生き物が大好きな人だと思うんです。生き物が好きだから自然環境について考えて、ときには自然環境のために生き物の命を奪わなくてはいけないことがあると知る。中には駆除した外来種の慰霊祭を行っている団体もあって、それは自分たちの心のモヤモヤを取り払うためにもとてもいい試みだと思います。

環境保全という大きな目的があって、外来種駆除はその中の手段のひとつに過ぎない。自然環境にとって脅威になるとき、やむを得ずに行う手段のひとつが外来種駆除であって、それ自体が目的になってはいけないと思う。科学的視点を持つことは大切ですが、科学的に正しければ何をやっていいというわけでもない。私は専門家ではありませんが、短絡的になることのないよう、多様な考えを学ばせるのが本当の環境教育かなと思います」

川井さんは子どもが関わる外来生物駆除企画の一案として、「①短時間でいいので自然観察会をする」「②30種くらい生物を“子ども”が発見する(誘導は必要)」「③たくさんの生き物がいることを認識する」「④外来生物の話」の4つの手順を踏むことを検討しているという。外来種の駆除自体が目的となることのないよう、多方面からの教育が求められている。