ブラックホールは巨大な恒星が自身の重力に耐えきれず崩壊してできる、光すら脱出できないほど超高密度かつ大質量の天体だとされています。ところが、ジョンズ・ホプキンス大学の理論物理学者らが新たに発表した論文で、「ブラックホールだと思われていたものは、実はブラックホールのように見える別の存在かもしれない」と主張しています。
研究チームがトポロジカル・ソリトンの近くを通過する光の挙動を調べたところ、時空をねじ曲げるトポロジカル・ソリトンはブラックホールとほぼ同じように光に影響を与え、光はトポロジカル・ソリトンの周囲で曲がり、中心部は暗い影に見えるとことがわかりました。そのため、これまでに観測された「ブラックホール」だとされていたものが、実はトポロジカル・ソリトンだった可能性があるというわけです。
もっとも、トポロジカル・ソリトンは特異点ではないため、光や電磁波も抜け出せない事象の地平面は存在しておらず、近づいたとしても脱出することができるとみられています。
なお、トポロジカル・ソリトンは弦理論に基づいた非常に仮説的な存在であり、記事作成時点では十分に研究可能なほど地球に近いブラックホールも見つかっていません。しかし、トポロジカル・ソリトンとブラックホールの観測上の違いを発見できれば、弦理論自体をテストする道が開かれる可能性があるとのことです。