/note/science

なぜ幻覚剤がうつ病に効果があると言われているのか?──『幻覚剤と精神医学の最前線』

で、それって本当にうつ病にきくの? というのが最大の疑問点だが、少なくとも臨床試験上はどれも成果をあげているようだ。25ミリグラムのサイロシビンの単回投与とセラピーを組み合わせた実験では、深刻な副作用もなく、難治性のうつ病患者に現在提供されているどの単回治療よりも強力な抗うつ効果が得られることを示した。

具体的には、サイロシビンの投与から一週間以内にうつ病の度合いを示すスコアが半減した。臨床試験に参加した患者のうち数人は(初期の限定的な研究なので対象は12人のみ)8年以上うつ病と無縁の生活を送ることができた。著者らは続いて、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の主流薬(日本ではレクサプロ)との比較実験を行い、こちらは患者をサイロシビン治療とSSRI治療でランダムに振り分ける二重盲検試験で実施されている。こちらもやはり、ほぼすべての指標において、サイロシビンの方がSSRIの薬よりも迅速に効果が現れ、その効果も高いことが確かめられた。*1