見た目は普通の畑だが、細かく砕いた粉状の玄武岩が、土の中にたくさん含まれている。仕組みはこうだ。
植物は葉からCO2を取り込んで光合成するが、その根や、根の周りの生物は呼吸をして逆にCO2を出す。根の中でCO2濃度が高まると、土の中の水分や玄武岩と化学反応し、カルシウムイオンや重炭酸イオンなどができる。
イオンはやがて川から海に流れ込み、植物プランクトンや貝類が炭酸カルシウムに変え、海底に沈む。
つまり植物の体を通じて、大気中のCO2が回収されるのだ。
当真さんは「岩石さえあればCO2回収はどこでも起きているが、粉状の岩石を畑にまくことで、スピードが上がる」と話す。
チームの信濃卓郎教授(作物栄養学)は「工業的な回収よりも効率は悪いかもしれないが、回収に伴うエネルギーや特別な技術が不要で、農地という広大な面積を使って世界中で実施できるのが利点だ」と強調する。