日本の調査隊が発掘を行っているトルコ中部の遺跡で、およそ4200年前の青銅器時代の地層から鉄鉱石が熱せられてできた金属や人工的に作られた鉄が見つかりました。調査隊によると、この時代にすでに人類が銅を溶かす技術を用いて鉄を作ろうと試みていたことがうかがえるということで、製鉄の起源に迫る発見として注目されています。
中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所の大村幸弘所長が率いる調査隊は、トルコ中部にあるカマン・カレホユック遺跡で、およそ40年にわたって発掘を続けています。
遺跡の北側にあるおよそ4200年前の前期青銅器時代の地層から見つかっていた数センチほどの金属の塊について、今回、電子顕微鏡で分析したところ、このうち2つは鉄鉱石が熱せられてできたもので、別の1つは人工的に作られた鉄だと判明しました。
製鉄は現在のトルコで栄えた「鉄の帝国」とも呼ばれるヒッタイトで今からおよそ3400年前には広く行われていたとされていますが、調査隊によると、今回の発見からはそれより前の青銅器時代にすでに人類が銅を溶かす技術を用いて鉄を作ろうと試みていたことがうかがえるということで、製鉄の起源に迫るものとして注目されています。
遺跡の同じ地層からは炉の跡も10基ほど見つかっていて、これらが鉄を作るために使われていたかどうかも調べることにしています。
大村幸弘所長は「鉄を作る試みはヒッタイトよりも1000年近く古い時代から始まっていて、銅や青銅を作る技術から鉄を作ろうとしていたことがうかがえる」と話しています。
この発掘成果は、3月9日、東京国立博物館で行われる報告会で発表されます。