「還元論」という考え方は、前世紀までの様々な科学を大きく発展をさせてきました。我々の体を含めた、身の回りの全てのものは、限られた種類の原子の集まりであるという原子論も、この還元論的な考え方の1つです。その原子の組み合わせで、どんな複雑な物体も作られているので、基礎となっているのは、その原子の物理法則である。そのミクロな法則を理解すれば、マクロな対象も自ずから深く理解できるであろうという「還元主義」の思想も、長く物理学業界を支配してきました。
原子も、原子核と電子から作られており、その原子核は陽子や中性子などの核子からできており、更に核子も、より小さなクォークという素粒子から作られています。20世紀の物理学では、世界のこのようなミクロな階層が、次から次へと発見されました。
前世紀には大成功をした、この還元論という方法論、還元主義という思想ですが、現在の物理学において、それらは終焉を迎えつつあるとも言われています。