/note/science

工場の排ガス、空気中のCO2まで「直に吸収」するプラごみ由来の新素材が誕生!

要約:

■ 1. 解決すべき課題

  • 気候変動: プラスチックの生産と廃棄により、年間約20億トンの二酸化炭素が排出されている。
  • プラスチックごみ: 廃棄されたプラスチックの多くが埋め立て地や海洋に蓄積し、マイクロプラスチック汚染を引き起こしている。

■ 2. 新技術の概要

  • 技術内容: デンマークの研究チームが、PETプラスチックを二酸化炭素吸着剤である「BAETA」にアップサイクルする技術を開発した。
  • 手法: アミノ分解と呼ばれる化学反応を利用している。

■ 3. BAETAの性能と特徴

  • CO2吸着効率: 商業化されている多くのシステムと比較して、非常に効率的である。粉末状のBAETAをペレットに加工しても性能は維持される。
  • 応用範囲: 工場の排ガスのような高濃度の二酸化炭素環境から、室温の大気まで幅広く対応できる。湿度が高い条件下での直接回収(DAC)にも有効である。
  • 耐久性: 150℃で40回以上の吸着・放出サイクルを繰り返しても劣化しない。他のアミン系吸着材より耐熱性に優れ、250℃まで安定して機能する。
  • 再利用性: 加熱や蒸気処理で回収した二酸化炭素を容易に放出できるため、繰り返し利用可能である。
  • 経済性: 海洋に漂うPETごみをBAETAの原料とすることで、プラスチック汚染の解決と経済的なインセンティブを同時に生み出すことが期待される。

■ 4. 実用化への期待

  • 二重のメリット: この技術は、二酸化炭素排出量の削減とプラスチックごみ問題の解決を同時に実現できる。
  • 今後の課題: 二酸化炭素の吸収や変換にはエネルギーコストがかかるため、費用対効果の高いシステム構築が求められる。