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2mの穴でOK!次世代の『地中熱エアコン』その仕組みと課題

要約:

■ 1. 新技術の概要

  • 開発主体: 山梨大学。
  • 技術内容: 地中熱ヒートポンプ技術を応用し、深さわずか2mの穴に埋めたポリタンク内の水を熱源とする地中熱エアコンを開発。
  • 消費電力削減効果: 実験により、消費電力を約30%削減できることを確認している。

■ 2. 従来技術との比較

  • 従来の地中熱ヒートポンプ:
    • 導入には数十メートルから100mの深い穴を掘る大規模な工事が必要だった。
    • 工事費用が高額で、電気料金の節約効果による費用回収には30年以上かかるとされている。
  • 山梨大学の地中熱エアコン:
    • 浅い掘削: わずか2mの深さの穴で済むため、一般的なショベルカーで施工できる。
    • 熱交換方式: 冷媒自体を地中の配管で循環させる「直接方式」の一種である。
    • 断熱: 地表に断熱材を施工することで、浅い部分の外気温の影響を解決するアイデアを提唱している。

■ 3. 課題と今後の展望

  • 課題:
    • 設置場所: 1m四方、深さ2mの穴を掘る必要があり、住宅密集地での施工は困難な場合がある。
    • 能力: 実験に使用されたエアコンは出力が2.2kWと低く、より高出力の機種に対応させるにはタンクの大型化が必要となる可能性がある。
    • 費用対効果: 従来の技術と同様に、短期間での費用回収が普及の鍵となる。
  • 今後の展望:
    • 2026年度中にベンチャー企業を設立し、山梨県内の建物で実証実験を行う予定である。
    • 実証実験を通じて長期的な安定稼働データと技術の有効性を確認する。
    • 将来的には、特許ライセンスと長期運転データをエアコンメーカーに提供し、大量生産と全国展開を目指す。