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【雑学】宇宙の最期とその寿命【ゆっくり解説】

要約:

■ 1. 宇宙の終焉と寿命の概要

  • 基本認識: 宇宙には始まりがあり、物理学的に終わりがあることが予想されており、宇宙の寿命は宇宙の終焉の仕方から算出される
  • 宇宙膨張の発見: 1929年にハッブルが宇宙が風船のように膨張しているという事実を発見し、この宇宙膨張こそが宇宙に終わりがあると予測される最も大きな原因となっている
  • ビッグバン理論: 大昔にビッグバンという大爆発が起こってその余韻で宇宙が膨張していると考えれば当時の観測事実をうまく説明できた

■ 2. シナリオ1: ビッグクランチ

  • 発生メカニズム: 宇宙の膨張が止まれば今度は宇宙は逆に収縮すると予測されており、まだ膨張の力の方が強いが、膨張が止まれば星々の重力で宇宙は徐々に潰れていく
  • 終焉の過程: 星々が重力により集まりどんどん質量が増してゆけば重力は強まり空間の歪みも加速度的に大きくなり、やがて宇宙には巨大なブラックホールが一つ出来上がり、その強すぎる重力は空間を歪ませついには宇宙が潰れ超高密度の点になる
  • 灼熱化現象: 宇宙収縮により熱が凝縮され、太陽の表面が発火し、核爆発により高性能大気は引き裂かれ宇宙には高音プラズマがあふれ、惑星の衝突により超新星爆発がいたるところで起こる
  • 特異点の問題: 潰れた宇宙は重力が強いのにサイズが極小であるため現代の物理では説明できない状態にあり、相対性理論と量子力学を統一させた新たな理論が必要である
  • サイクリック宇宙論: ビッグクランチ後に再度反発してもう一度ビッグバンが起こるビッグバウンス(大反発)の可能性があり、これをサイクリック宇宙論というが、特異点間の遷移理論はまだ確立されていない
  • 宇宙の寿命: 約166億年から358億年だと推測されており、最速のケースで今から約28億年後に宇宙は終わりを迎える

■ 3. シナリオ2: ビッグリップ

  • 宇宙膨張の加速: 1997年に宇宙の膨張が減速などしておらず加速していることが発見され、何かの力が宇宙膨張を後押しして膨張が加速しているのだと考えられ、この力をダークエネルギーという
  • 光速超えの膨張: 宇宙膨張は宇宙という空間自体が膨張する現象であり、相対性理論は空間が光速を超えることを認めており、加速の勢いが増し続ければこれまでは重力でくっついていたものも離れ始める
  • 破壊の過程: 2003年のコードウェル博士らの論文によると、最初に銀河団が分裂し、その後銀河の星々もゆっくりと離れていき(銀河の蒸発)、宇宙は次第に暗くなり地球は極寒になる
  • 地球の崩壊: 月が離れ、大気が地球から飛んでいき、地球のプレートは重力と膨張のせめぎ合いにより大きく変動し、地球は自らを保てなくなり最後には爆発する
  • 完全な解体: 人体を構成する原子と原子の空間が膨張することにより物体は形を保っていられなくなり、原子核そのものが崩壊し、やがてブラックホールですら消滅し、最終的には宇宙の物体の何もかもがチリになる
  • 宇宙の寿命: 現在の宇宙の加速の速度から考えて最悪の場合でも2000億年以上だとされている

■ 4. シナリオ3: 熱的死

  • 平坦な宇宙: 閉じても開いてもいない宇宙で、収縮の力と膨張の力の均衡がとれた状態であり、力のバランスが取れているから宇宙は差し引きゼロで今の緩やかな膨張が永遠に続くという説である
  • ダークマターとダークエネルギー: 宇宙が収縮するのか膨張するのかはダークマターVSダークエネルギーの戦いであり、この2つのうちどちらの力が強いのかを宇宙の曲率という名の数値で表す
  • 熱力学第二法則: 熱は放っておくと冷め、自発的に元に戻ることはないという法則であり、宇宙全体で熱の総量は変わらないのに宇宙は大きくなっていくから熱の密度はどんどん下がっていく
  • 終焉の状態: 気の遠くなる時間を経て太陽を含めた恒星は燃え尽きその熱は冷めきり、最終的に宇宙のすべての箇所が極めて低温絶対零度となり何の変化もない、存在はしているが生きてはいない暗く冷たい世界になる
  • エントロピーと時間: エントロピーが完全に増大しきった状態では時間が流れず、いかなる進化も現象も発生せずこの状態が元に戻ることは未来永劫ない
  • 宇宙の寿命: 1.7×10の160乗年という途方もない時間をかけて宇宙が終わる

■ 5. まとめ

  • 3つのシナリオの分類:
    • ダークエネルギーの力が弱ければ宇宙は閉じた宇宙になりビッグクランチ
    • 中間的な強さであれば宇宙は平坦な宇宙になり緩やかな停止の熱的死
    • 強ければ宇宙は開いた宇宙になり宇宙が引き裂かれるビッグリップを迎える
  • 現代の観測結果: 宇宙の曲率を計算すると宇宙は平坦な宇宙もしくはわずかに開いた宇宙である可能性が指摘されているが、実際の終焉はまだまだ先である