■ 1. 報告書の概要
- 作成者: 世界中の160人の科学者
- 性質: 画期的な報告書
- 発表日: 12日に発表
- 主要執筆者: 英エクセター大学グローバルシステム研究所のティム・レントン教授
■ 2. 地球の「新たな現実」
- 現状: 地球が「新たな現実」と戦っている
- 原因: 一連の壊滅的かつ不可逆的なものになり得る気候の転換点のうち最初の段階、すなわちサンゴ礁の広範な死滅が近づきつつある
- 人類の影響: 人類が化石燃料を燃焼し気温を上昇させている
- 既に起きている影響: すでに深刻な熱波、洪水、干ばつ、山火事が頻発している
■ 3. 転換点の危険性
- レントン教授の警告: 「私たちは複数の地球システムの転換点に急速に近づいており、それが世界を変化させ、人間と自然にとって壊滅的な結果をもたらす可能性がある」
- 影響範囲: アマゾン熱帯雨林から極地の氷床に至るまで、地球の重要なシステムのバランスを崩壊に追い込む可能性
- 結果: 壊滅的な影響が地球全体に広がる
■ 4. サンゴ礁:最初の転換点
- 位置づけ: 熱帯のサンゴが最初の転換点となる
- 2023年以降の状況: 海洋の温度が過去最高を記録する中、世界のサンゴ礁は史上最悪の大量白化現象に見舞われている
- 影響規模: その8割以上が影響を受けている
- 景観の変化: かつては色とりどりの生物がひしめき合う場所だった海中が、白化した海藻が支配する景観へと変わりつつある
■ 5. サンゴ礁喪失の警告
- マイク・バレット氏の発言: 「私たちは限界を超えて(サンゴ礁を)追い詰めてしまった」
- バレット氏の肩書: 世界自然保護基金(WWF)英国支部のチーフサイエンティフィックアドバイザー、報告書の共著者
- 将来予測: 地球温暖化を逆転させなければ、「私たちが知っているような広大なサンゴ礁は失われてしまう」
■ 6. サンゴ礁喪失の影響
- 海洋生物への影響: サンゴ礁は海洋生物にとって不可欠な生息地
- 食糧安全保障: 食糧安全保障に欠かせない存在
- 経済的貢献: 世界経済に数兆ドルもの貢献をしている
- 防災機能: 沿岸地域を嵐から守っている
■ 7. さらなる転換点の危険
- 1.5度目標の未達: 産業革命以前の水準から1.5度以内に温暖化を抑制するという世界的に合意された目標が未達に終わるのは、ほぼ確実
- 追加の転換点: 地球はさらにいくつかの転換点を迎える瀬戸際にある
■ 8. AMOC崩壊の脅威
- 定義: 大西洋子午面循環(AMOC)は大西洋の重要な海流ネットワーク
- 最も憂慮すべき転換点: 中でも最もAMOCが崩壊する可能性
- 影響:
- 世界の一部に深刻な寒冷化をもたらす
- 別の地域を温暖化させる
- モンスーンの季節を乱す
- 海面水位を上昇させる
- 世界に壊滅的な影響を及ぼす
- 崩壊のタイミング: 今地球上で生きている人々の生涯のうちに起こる危険性がある
■ 9. 世界の準備不足
- マンジャナ・ミルコレイト氏の指摘: 世界はこうした転換点を越えた場合の影響にまったく備えていない
- ミルコレイト氏の肩書: オスロ大学社会学・人間地理学部の研究者、報告書の執筆者
- 現在の政策の限界: 「段階的な変化のために設計されており、このような急激で不可逆的かつ相互に関連した変化のためには設計されていない」
- 政府対応の重要性: 各国政府が今どのように対応するかは「非常に長い期間、地球システムに影響を与える可能性がある」
■ 10. 報告書が求める行動
- 汚染の削減: 地球温暖化の原因となる汚染の急速な削減
- 炭素除去: 大気からの炭素除去の拡大
■ 11. 1.5度目標超過への対応
- レントン氏の見通し: 世界の気温は1.5度の目標を超えて上昇する見通し
- 重要な対策: それでもこの水準以上のさらなる温暖化を最小限に抑え、できるだけ早く気温を低下させることが重要
■ 12. COP30への影響
- 報告書のタイミング: 各国政府がブラジルで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)に集まる1カ月前に発表
- 今年の重要性: 今年は特に重要であり、各国は今後10年間の排出量削減目標を設定するとみられている