■ 1. 再生可能エネルギー貯蔵の課題
- 風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用した発電では気象条件によって発電できない時間帯も生じる
- 余剰エネルギーを貯蔵するシステムと組み合わせることが重要
- 近年は大量の二酸化炭素を用いて余剰エネルギーを貯蔵するCO2バッテリーが実用化されつつある
- GoogleもCO2バッテリーの主要データセンターへの展開を計画している
■ 2. 長時間エネルギー貯蔵の重要性
- 大規模な風力発電所や太陽光発電所が登場するにつれて余剰の再生可能エネルギーをどうやって貯蔵するのかはますます重要な課題となっている
- 余剰エネルギーを貯蔵し風力や太陽光が利用できない間に8時間以上連続して電力を供給する長時間エネルギー貯蔵というコンセプトは再生可能エネルギーの価値を最大化する鍵
■ 3. 既存の蓄電システムの問題点
- 市場で最も優れた最新のグリッドスケール蓄電システムでさえ4から8時間分程度しか蓄電できない
- 夜間や悪天候続きの期間あるいは酷暑などでエネルギー需要が増した時期に対応できない
- これらのシステムは主にリチウムイオン電池を採用している
- 大型化しすぎると経済的に採算が取れない
- その他の金属や化学物質を使用したバッテリーも開発されているがエネルギー密度やコストや劣化や資金調達などが障壁となっている
■ 4. 様々なエネルギー貯蔵方法の試み
- 研究者らは余剰エネルギーを蓄えるために様々な方法でエネルギーの貯蔵を試みている:
- 空気を圧縮する
- 砂やブロックを加熱する
- 水素やメタノールを使用する
- 地下深くの水を加圧する
- 重い物体を空中につり上げる
- しかし地質学的制約や実現可能性や効率性や拡張性などが商業化を阻んでいる
■ 5. 揚水発電の現状と限界
- すでに2つの貯水池間で水を移動させる揚水発電は余剰エネルギーの貯蔵システムとして活用されている
- 数千MWもの電力を長期間蓄えることが可能
- しかし揚水発電は特殊な地形と広大な土地を必要とするためどこでも展開できる手段ではない
■ 6. Energy DomeのCO2バッテリー
- イタリアのミラノに拠点を置くエネルギー企業Energy Domeは二酸化炭素を利用して余剰エネルギーを貯蔵するCO2バッテリーを開発した
- 2025年7月にイタリアのサルデーニャ島に実証施設を建設した
■ 7. CO2バッテリーの仕組み
- CO2バッテリーは余剰の再生可能エネルギーを使用して2000トンもの二酸化炭素を圧縮し室温まで冷やして液体にすることでスクールバスほどの圧力容器数十個に貯蔵する
- エネルギーを使用する際にはプロセスを逆にして液体二酸化炭素を気体に戻して発電タービンを回し気体となった二酸化炭素はドーム内に保存される
- 余剰エネルギーがやってきたら波状のパイプでドーム内から二酸化炭素を運び出し液体にする
- この方法により10時間で200MWもの電力を生成できる
■ 8. CO2バッテリーの構成と特徴
- CO2バッテリーは気体となった二酸化炭素を貯蔵する巨大なドームと液体二酸化炭素を貯蔵するタンクやタービンなどの設備から構成されている
- 揚水発電のような特殊な地形は必要ない
- 電気化学バッテリーのように希少鉱物も使用しない
- 既存のサプライチェーンで利用可能な部品を使っている
- 期待されるバッテリー寿命はリチウムイオンバッテリーの約3倍
- サイズと蓄電容量を増やすことで発電量あたりのコストも大幅に削減可能
- Energy DomeはCO2バッテリーによるLDESソリューションが同規模のリチウムイオンバッテリーより30パーセント安価になると見込んでいる
■ 9. 建設の容易性と展開予定
- Energy Domeのドームはわずか半日もあれば膨らませることができる
- 施設の残りの部分は2年もかからずに建設可能
- 5ヘクタールの平地があればどこにでも作れることから世界中でCO2バッテリーを建設する動きが始まっている
- サルデーニャ島に続いてCO2バッテリーが建設されるのはインド
- 2026年にはカルターナカ州に完成する予定
- アメリカのウィスコンシン州では公益事業会社のAlliant Energyが1万8000世帯に電力供給するCO2バッテリーを2026年に建設する許可を取得している
■ 10. Googleの展開計画
- GoogleもEnergy DomeのCO2バッテリーを高く評価している
- ヨーロッパアメリカアジア太平洋地域の主要データセンターに展開する計画
- Googleのエネルギー戦略担当シニアリーダーのアイノア・アンダ氏はEnergy Domeは標準化されているため世界中のさまざまな地域で建設可能な点を高く評価している
- GoogleとEnergy DomeはCO2バッテリーに関する契約条件を明らかにしていない
■ 11. CO2バッテリーのマイナス面
- 同容量のリチウムイオンバッテリーの約2倍の敷地面積を必要とする点
- ドーム自体が巨大なため周辺地域の景観に影響を及ぼす点
- ドームが壊れたら大量の二酸化炭素が排出されるとの懸念がある
- しかしEnergy DomeのCO2バッテリーは時速160kmの風にも耐えられる
- 事前に台風やハリケーンの襲来がわかっていれば半日ほどで二酸化炭素を液体化してドームを収縮させることもできる
■ 12. 最悪の事態への対応
- 最悪の事態が起きてドームに穴が空いた場合2000トンの二酸化炭素が空気中に放出される
- これはボーイング777でニューヨークとロンドン間を15回往復した際の排出量に相当する
- 石炭火力発電所の排出量に比べれば無視できる程度