■ 1. ニュースの概要
- プログレッシブサイエンスニュースによる科学ニュース動画
- 本日のニュースは標準宇宙論が根底から覆える可能性が上昇している内容
- オックスフォード大学を中心とした国際天文学研究チームによる研究
■ 2. 研究の発見
- ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡などによる新しい遠方宇宙領域の天体観測結果やこれに由来する研究報告のデータを総括した
- 宇宙原理を大前提とした現状のラムダCDMの予測と合致する宇宙マイクロ波背景放射双極子の等方性に対してクラスタリング双極子の異方性が合致しないということがもはや疑いようのないレベルにある
- 以前からいくつもの報告があったものの標準宇宙論モデルのラムダCDMの最高どころかFLRW計量の破棄という従来の宇宙理論体系そのものを覆すことになるため半ば見てみぬふりをしていた
- この問題に対し真剣に取り組む必要があるという議論を最新の論文により天文学会に投げかけた
■ 3. 研究チームの考察プロセス
- ジェームズウェッブがまた変なの発見したという状況
- 初期宇宙にあるはずのない大量のブラックホールに銀河っぽい何かに重元素など現状はその度に新しい仮定を設けたりしてなんとか従来理論の枠にはめようとしている
- 天文学のそれぞれの研究は優秀な人らがやっているしインパクトファクターが高水準の学術論文も多いから標準宇宙論は理論的に硬い
- それぞれが前提としている部分がそもそも間違っているということではないか
- 一般相対論などの個別の物理論体系に関するものじゃなくて大前提つまり宇宙はクソでかいスケールで見れば一様であるという仮定アインシュタインの宇宙原理
- エリスボールドウィンテストやクラスタリング双極子のいろんなところの研究と今年の最新の研究データも合わせてみるとやっぱり等方的ではなく異方性を示す統計的な標準偏差の信頼性が5シグマを超えている
- CMB双極子の等方性についてはしっかり説明がついているし我らは異なった宇宙の姿を同時に観測しているとでも言うのか
- とりあえず宇宙の真実を従来の標準宇宙論の枠内で考えることだけしていたらダメ
- 世界中の天文学者のみんなそろそろこっちについても本腰入れて考えてこい
■ 4. 現代の標準宇宙論の構築
- 現代の標準宇宙論は全宇宙規模という大きなスケールで見れば個別の天体の重力の影響などによる集合を無視すれば物質の分布は一様であるとする宇宙原理を大前提としてこれに一般相対性理論を導入することで構築されている
- これはどちらもアインシュタインの仕事によるもの
- 当初アインシュタインが考えたこの宇宙は自分の重力で潰れてしまうという意味不明なことになってしまったため重力に対する斥力が空間に働くものとして宇宙項ラムダというものが導入された
- この後FLRW計量という厳密解の発見により定式化されさらに全天球からの宇宙マイクロ波背景放射が観測されたことでビッグバン仮説がこれに加わる
- そしてこの宇宙理論に不足している要素としてダークマターダークエネルギーが参戦しこれら全てをひっくるめたものとしてラムダCDMというものが現在の標準宇宙モデルとなっている
■ 5. 宇宙原理の観測的裏付け
- 宇宙原理は観測事実からも裏付けられている
- 有名なところではビッグバンの痕跡とされている宇宙マイクロ波背景放射
- これが約10万分の1という極めて高い精度で全天に均一に分布していることから宇宙は一様で等方つまりどこでどの方向を見ても同じような姿に見えるということに合致する
- これはFLRW計量によって記述され観測結果と理論を結ぶ宇宙論の大きな柱となっている
■ 6. クラスタリング双極子異方性の発見
- 2000年代初め頃ハッブル宇宙望遠鏡などによる観測から遠方宇宙の天体の観測結果が標準宇宙論に合わないおかしなデータを示し始めた
- 全天の天体の観測結果を見ると天体の集まりの分布の仕方が妙に偏っており等方的ではなく異方性を示していることが明らかになってきた
- これはクラスタリング双極子異方性と名付けられ現代宇宙論に大きな疑問を投げかけるものとなっていた
- しかし観測方向にある近傍宇宙の銀河団などの存在によりその重力が時空を歪める影響で光が曲がり見かけ上の分布が変わることも理論的に予想される
- CMB双極子については等方性が確立していることもあり天文学会全体としては半ば無視するような扱いとなっていた
- しかしジェームズウェッブ望遠鏡などの登場により詳細より遠方のデータが送られてくるようになるとどんどんこれが無視できない問題になってきた
■ 7. エリスボールドウィンテスト
- 全天の天体観測による宇宙の構造が対称的であるかどうかを調べる手法として1980年代にはすでに2人の天文学者がエリスボールドウィンテストという検定法を考案していた
- この検定に当てはめこれまでの観測結果の研究報告をまとめると統計学的な誤差の範囲をはるかに飛び越えて近年では5シグマという領域を突破している
- この数値は科学的な根拠として十分すぎるもの
- つまり我々は宇宙の対称性構造についてCMB双極子としては等方的でクラスタリング双極子としては異方的な異なる宇宙の姿を同時に見ていることになる
■ 8. 両者を認めることの影響
- 両者を認めると大変なことになってしまう
- 現代宇宙論は宇宙原理という大前提に基づいている
- 両者の観測事実はこれが間違っていると言っていることになる
- するとその大前提を基準にできているFLRW計量も当てにならないということになりラムダCDMというモデルも破棄する必要があるという根底から宇宙論を覆すようなことになってしまう
- 簡単に言ってしまえばこれまで使っていた定規とそれで描いた図形は出鱈目だから捨てろと言われているようなもの
- しかし進歩した天体観測技術は次々と従来理論に不合な事実を提示している
- ラムダCDMを含めFLRW計量の宇宙モデルに合わない初期宇宙に存在しないはずの天体や元素が見つかったり明らかにその存在一つの確定で等方性をぶち壊す推定100億光年を超えるような超ウルトラハイパー銀河団フィラメントみたいなのが見つかったりしている
- 絶賛詰まくっている天文学会に宇宙の双極子異方性観点でも最高の天敵となる議論を投げかけたのがこの今回の研究
- 結局のところ宇宙の真実の姿については余計が分からなくなってきた
■ 9. 考察パート:量子力学的観点
- CMBとクラスタリングの双極子の不整合の関係は簡単に言ってしまえば位置やその背景にある運動量といった物理量の不整合と言い換えられる
- 量子力学では分子原子と粒子が細分化されるほど量子的性質を帯びるようになり素粒子ともなると完全に量子化する
- つまり量子的性質とはそれについての情報を観測者が持つ度合とも言える
- 素粒子を観測しようとすると観測して初めてその物理量の一端が特定される
- しかし位置を特定すれば運動量が運動量を特定すれば位置が不明と異なる物理量は観測しても同時には決まらない
- CMBとはビッグバンの少しあと空間密度が十分に広がり光が放射できるようになった宇宙の晴れ上がりの光とされておりそれよりかなり後にできたものが遠方からの天体の光ということになる
- 逆二乗の法則により光という物理量は光源からの距離が離れるほど弱くなる
- これはつまり空間的な距離が遠いものほど情報量が少なくなるとも言い換えられる
- ということは最遠方のCMBという物理量は近傍天体のそれよりも量子化度合が高いはず
- つまり量子力学的な観点から言えばこの両者の確定情報のずれは起きて当然とも言える
- 確定情報を集めれば集めるほどその全体像は分からなくなるはずだって本質的には決まってないんだから
- 要するにCMBとは観測者自身を中心とした認識における最小限度の宇宙の情報であり不確定性MAXのその情報を射影測定的に観測して確定させたものと同じく本質的に射影測定的観測ではあるものの情報の収束率の高い天体クラスターの全体構造はずれが生じて正解と考えられる
- むしろここまで突き詰めたことが物理学がそうであるように宇宙論にとっても一つのゴールであるということなのではないか
■ 10. 締めの言葉
- この世の存在という概念の本質は虚無であり真には何もなく何も始まってはおらず観測者である我々も我々の体験しているこの宇宙という事象も無限の可能性の中の一つのそういう可能性この可能性が見せる幻のことを我々こう呼ぶ現実と
- 今回の研究論文はアメリカ物理学会にて公開となっている
- アクセスできる方は是非ご覧になってみてください