■ 1. ユニバース25実験の概要
- 食料無限で天敵も病気もゼロという楽園を実現した実験である
- 通称楽園実験としてYouTubeやSNSで話題になっている
- 1960年代から70年代にかけて行われた伝説的な実験である
- 詳しく掘り下げると真実に怪しさが残る不正や疑惑があったのではないかと言われている
■ 2. 実験の経緯と先行実験
- カルフーンの初期実験:
- 1947年アメリカの動物行動学者カルフーン博士が自宅裏の森で街ネズミの囲い込み実験を開始した
- 約1000平米の広い土地に天敵を防ぐフェンスと豊富な食料を用意しマウスを放った
- 予定では5000匹まで増えるはずだったが実際は200匹程度で頭打ちになった
- カルフーンは物理的スペースが余っていても精神的スペースや社会的許容量が限界を迎えると繁殖が止まるという仮説を立てた
- ユニバース1から24の実験:
- 1950年代から24回に及ぶ屋内実験が行われた
- 食料や巣が十分にあり部屋が分かれているにも関わらずラットたちは特定の場所に密集して食事をするようになった
- ユニバース25の開始:
- 1968年にこれまでの知見の集大成とも言える25回目のユニバース25が始動した
- マウスにとってこれ以上ない完璧な楽園を用意した
- スペースが狭いのではないか・掃除等の人間介入がストレスだったのではないか・ラットという種の特性だったのではないかという批判を封じるために設計された
- 広大で衛生的で資源が無尽蔵な完璧な楽園を作ることに徹底した
■ 3. ユニバース25の実験設計
- 施設の構造:
- 一辺約2.7メートル高さ約1.4メートルの正方形の囲いである
- 壁にはマウスが自由に登れないような加工が施された
- 中は16の扇形エリアに分割され中央は広場になっている
- 広場から放射状に居住エリアが広がっている
- インフラ整備:
- 1つの巣箱で15匹が快適に暮らせる巣箱を256個用意した
- 粉末フードを供給する餌箱は常に満タンで同時に何百匹も食事できるように配慮された
- 常に水が出る給水機をたくさん設置し渇きのない状態にした
- 温度と湿度は常に一定で病気の侵入を防ぐため検査や消毒も慎重に行われた
- 理論上3840匹まで快適に暮らせる環境を作った
- 実験開始:
- 国立衛生研究所の繁殖コロニーから選ばれた健康な4組8匹のマウスたちが放たれた
- 1968年7月に実験がスタートした
- 1500日に及ぶ実験は大きく4つのフェーズで進行した
■ 4. 実験の4つのフェーズ
- フェーズ1適応期:
- 実験開始から104日間はマウスたちにとって最も平和な時期である
- 最初に放たれた8匹のマウスたちは広大な空間に戸惑ったがすぐに危険のない楽園であることに気づいた
- 争うこともなく好きな場所を選んで巣作りを始め穏やかに社会を形成して仲良く生活するようになった
- やがて最初の子供たちが生まれ適応を終えるまでの期間がこのフェーズ1に当たる
- フェーズ2繁殖期:
- 実験施設に適応したマウスたちは猛烈な勢いで繁殖を開始した
- 約55日ごとに数が2倍になるという凄まじいペースで数が増えていった
- ネズミは条件が良ければ生後約3ヶ月で繁殖可能になる
- 1度の出産で数匹から10匹程度の子供を生み妊娠期間も20日程度という短さである
- マウスの数が増えるにつれ社会的な序列が生まれ始めた
- 強いオスは多くの巣箱とメスを支配し逆に弱いオスは隅っこに追いやられた
- まだスペースには余裕があったため深刻な問題にはならなかった
- 315日目には8匹のネズミが620匹に達した
- 限界の3840匹まではまだ余裕があったが少しずつ繁殖ペースが落ちてきた
- フェーズ3停滞期:
- 1年後数が倍増するペースは55日ごとから145日へと伸びた
- マウスたちにやる気の減少や攻撃性の増加が見られた
- 本来のマウスは縄張りを守ってメスや子供たちを他のマウスから守る
- 個体数が増えて過密状態になると追い払っても追い払ってもキリがない
- スペースに余裕がなく次々にライバルが現れるため縄張りの維持が困難だと疲れて諦めるようになった
- 競争に勝てなくなったオスはその役割を放棄し無気力に過ごすようになった
- オスが縄張りを守らなくなると隠れていたメスたちも危機にさらされた
- 見知らぬオスが頻繁に巣に侵入してくるを得なくなった
- 結果としてメスの攻撃性が異常に高まりオスだけでなく子供にも向けられるようになった
- 授乳の途中で子供を蹴ったり置き去りにしたり攻撃して命を奪ってしまったりした
- 育児放棄された子供たちはなんとか自力で生きていくしかなかった
- 混沌とした実験施設の中には強いオス・攻撃性の増したメス・無気力な個体に分けられた
- 無気力な個体は巣箱に引きこもり戦わずに交尾も繁殖もせず空腹なら無限にある食料を食べることしかしなかった
- フェーズ4終末期:
- 560日目以降個体数の増加が完全に停止した
- この日を境にユニバース25では1匹も子供が生まれず生き残ることもなかった
- マウスたちはもはやマウスとしての社会のルールを完全に忘れてしまった
- 無気力なオスは交尾の仕方が分からない
- 育児放棄されたメスは巣作りの仕方が分からない
- 彼らは大人になっても精神的には子供のままだったと記されている
- 個体数は約2200匹をピークに急速に減少し始めた
- この段階のマウスを正常な環境に移してリハビリを試みたこともあった
- 広くて異性もいる別の環境に移したものの彼らが元に戻ることはなかった
- 新しい環境でも引きこもり虚空を見つめ繁殖もせず死を待つだけだった
- カルフーンはこの社会機能が崩壊した様子を行動の死と呼んだ
- 1973年最後のオスが亡くなりユニバース25は全滅で終了した
■ 5. 実験結果と現代社会への類似性指摘
- 一般的な反応:
- 食料無限で天敵ゼロなら数は増え続けるはずと思っていた人が多い
- 全滅という実験結果は衝撃的である
- 内容が示唆的で現代日本にも似ているという反応が多く見られた
- 現代社会との類似性の指摘例:
- オスの競争から弾き出されて無気力になったマウスたちは草食系と呼ばれる恋愛に積極的でない男性像と重ねられた
- ネット空間に引きこもっている状況と類似している
- 社会機能を持たず巣箱に引きこもって食事の時以外出てこない姿は8050問題と重ねられた
- メスを守る機能を果たせず育児に不安やストレスがあることでその矛先が子供へと向かう育児放棄や虐待の原因も重なると評価された
- SNSコメント欄の反応:
- 恋愛も結婚もコスパが悪く1人でいるのが1番合理的だという意見
- 少子化対策なんて無駄だとユニバース25を見れば分かるという意見
- 今の日本は終末期の末期だという意見
- 自分が結婚できないのは自分のせいではなく過密環境のせいではないかという意見
- 個人の努力ではどうにもならない大きな流れの中にいるという認識
- 滅びゆく社会を特等席で眺めているような奇妙な納得感すらコメント欄から漂っている
■ 6. 実験への疑問点と批判
- 過密が原因という説への疑問:
- カルフーン博士は過密状態から崩壊が始まったと評価している
- しかし最終的な数は2200匹で収容限界の3840匹には遠く及ばなかった
- 巣箱にはまだ十分な空きがあったのになぜ崩壊したのかという疑問がある
- 前提の3840匹が限界という評価が誤りになる
- 資源の偏りが原因という近年の評価:
- 実験設備の構造上強いオスが巣箱の入り口や主要な通路を独占していたと見られる
- 弱いマウスたちは巣に帰れなくなった
- 強いオスたちが広い空間を支配していた
- 全体としては空いているのにスペースが平等に与えられていなかった
- 近親交配の問題:
- 実験はたった8匹4ペアから始まって2200匹まで増えた
- 強烈な近親交配が起きて病気や異常が起きていたのではないかという疑問がある
- しかし実験に使われたマウスは近交系という兄弟交配を20代以上に渡って行われた系統である
- 有害な遺伝子は排除されたり固定化されている
- 系統内の遺伝的な差がほとんないクローンに近い状態である
- 近親交配による病気や繁殖能力が低下することはまずない
- 対照実験の欠如:
- カルフーン博士は調べたい条件だけをずらして検証する対照実験を行っていない
- 実験の信頼性を高める対照実験がないことから真偽が疑われている
- ユニバース25はこの一件しかサンプルがない
- 科学である以上誰がやっても同じ結果という再現性がなければ真実とは言えない
- 再現実験の結果:
- カルフーン以降似たような再現実験が2件行われている
- いずれも滅亡という結末を迎えたわけではない
- ある実験では過密になってもマウスたちが攻撃性を抑えるための新しいルールを作り出した
- それなりに安定した社会を維持した例もあったと報告されている
- ユニバース25の結果は逃げ場のない閉鎖空間・過密環境・特定の環境など特定の条件が揃った時にだけ起きる事例だった可能性がある
■ 7. チェリーピッキングの疑惑
- 25回の実験実施の理由への疑問:
- カルフーン博士はユニバース25よりも前にユニバース1から24まで実施した
- なぜ25回も必要だったのかという疑問がある
- 人口爆発への警鐘という動機の可能性:
- カルフーン博士は当時世界的に叫ばれていた人口爆発の危機に対して警鐘を鳴らしたいという強い動機を持っていたのではないか
- 病気も天敵もなく食料は無限で過密という問題だけが残る地獄を作り上げた
- 絶対に崩壊するように設計された完璧なシステムだったとも言える
- チェリーピッキングの定義と批判:
- 実験結果の内容を全ての生物の運命として一般化するのは都合のいいデータだけをつまみ食いするチェリーピッキングだという批判がある
- チェリーピッキングとは数多くの事例の中から自らの論証に有利な証拠のみを選びそれと矛盾する証拠を隠したり無視する行為である
- ユニバース25が自分の主張を通しやすいよう実験を重ねていく中で都合のいい結果が出るように実験の条件を整えた疑いがある
- 衛生管理の問題:
- 実験報告を見ると楽園とはほど遠い光景が広がっていた
- 最長で2ヶ月もの間清掃も消毒も行われていない極めて杜撰な衛生管理だった
- 論文内でも何も消毒しなかったと明言されている
- 博士自身は掃除の頻度について4から8週間ごとと記している一方で6週間から2ヶ月ごとも記している
- 管理に不透明さや矛盾が残る
- 対照実験未実施の意図への疑問:
- 過去に24回も検証しているなら対照実験の必要性も十分理解しているはずである
- それをしなかったのは結果が分かっていたからなのか無意識なのかという疑問がある
- 博士は結果を最初からチェリーピッキングしようとしたのではなく望む結果が出るような舞台を無意識に作り続けた結果この結果に酔いしれてしまったのかもしれない
■ 8. 人間社会への適用可能性の問題
- 人間とネズミの違い:
- マウスの実験をそのまま現代日本に当てはめるのはかなり危険である
- マウスと人間では生き方も社会のルールも大きく異なる
- 人類は環境が悪化したら新しい技術を発明して解決する力がある
- 法律や道徳といった文化を進化させて秩序を保つ力がある
- 食料が足りなければ農業革命を起こし過密になれば都市計画を見直し争いが起きれば法を作る
- こうして人類は生き残ってきた
- カルフーン自身の見解:
- カルフーン自身も悲観論者ではなかった
- むしろ人間は知性によって行動の死を乗り越えられるはずだと信じていた
- 都市計画や未来社会のデザインに情熱を注いでいた
- 物理的な空間が限界に達してもインターネットのような情報空間を拡張することで人類はもっとよりよく進化できると考えていた
- 一部の人々の反応:
- こうした疑惑を上げても一部の人たちは実際に実験して滅亡しているわけだしマウスも人間も似たようなものだから人間社会と似るものがあるでしょうと断固として譲らない人も見られる
■ 9. 科学的信頼性の一般的問題
- 大規模実験や論文の限界:
- 大規模な実験をしているとか論文があるというのは信じる根拠になり得ない
- チェリーピッキングや因果関係と相関関係を混同しているケースを見過ごすのは大問題である
- 過去には科学者が不正を働いて真実を歪める論文を出したケースもある
- MMRワクチン論文捏造事件の事例:
- 現代医療史上最も悪質な捏造事件の1つと言われている
- 1998年イギリスの医師アンドリュー・ウェイクフィールドは権威ある医学誌に新三種混合MMRワクチンが自閉症を引き起こす可能性があるとする衝撃的な論文を発表した
- 論文は一気に広まり世界中の親たちがパニックになった
- ワクチン接種率が激減しその結果本来防げるはしかの流行が大流行した
- 多くの子供たちが命を落としたり障害を負ってしまった
- この論文自体真っ赤な嘘だった
- 後の調査でウェイクフィールドには重大な裏取引があったことが発覚した
- 彼はワクチンメーカーに対する訴訟を準備していた反ワクチン団体の弁護士から約7000万円以上の多額の資金を受け取っていた
- 論文の根拠となった12人の子供たちのデータも改竄捏造されていた
- 論文中に自閉症だと記載されていた子供たちの人数はもちろん接種直後に自閉症などを発症したケースは一例も存在しないと明らかになった
- その後論文は撤回され彼の医師免許は剥奪された
- イギリスの反ワクチン活動家になっているが彼が巻き散らした反ワクチンのデマはネットを通じて今でも根強く残っている
- 嘘は1度広まるとそれを消すのに何倍ものエネルギーが必要である
■ 10. 教訓と情報リテラシーの重要性
- 実験評価の慎重さの必要性:
- この実験は確かに現代社会に当てはめやすい結果が色々出ている
- しかし結果が出るまでの過程を見ていくとその手順ややり方に疑問が残る
- 情報アップデートの重要性:
- 古い研究の場合追加調査が行われたりMMRワクチン事件のように嘘の論文も存在する
- 常に情報をアップデートして情報を確認する癖をつけるのが大切である