■ 1. プロトタキシーテスの概要
- 約4億年前(デボン紀初期)に存在した謎の生物であり最大高さ約9メートルに達した
- 恐竜も樹木も存在しない時代の最大の陸上生物とされる
- 同時代の植物の高さは1メートル未満であり周囲の景観を圧倒する存在だった
- 化石は160年前に初めて確認され長らく明確な分類が困難だった
■ 2. 分類に関する歴史的議論
- 19世紀の科学者の見解:
- 針葉樹の幹が腐敗したものと考えた
- その後の研究による否定:
- 植物組織のブロック状細胞ではなく絡み合った管状構造で構成されることが判明
- 地衣類説:
- 藻類と共生関係を結んだ菌類のような生物とする主張が登場
- 近年の真菌類説:
- 光合成によるエネルギー生産を行っていないように見えることから真菌に近いとする研究者が現れた
■ 3. 新たな研究の内容と結果
- 研究対象:
- 英スコットランドのライニー・チャート(デボン紀初期の化石産地)で発掘された3点の化石
- 分析内容:
- バイオマーカー分析により同地で発見された菌類化石との化学的差異を検証
- 結果:
- 菌類化石にはキチンとグルカンの分解生成物が含まれていたがプロトタキシーテスにはこれらが欠如
- 構造的特徴も現生・絶滅を問わず既知のあらゆる菌類と異なる
- 結論:
- 現代のどの生物群とも全く異なる生物である可能性が示された
- 植物でも動物でも菌類でもないまったく未知の多細胞生物の可能性がある
■ 4. 専門家の見解
- エディンバラ大学ロロン氏(共同筆頭著者):
- 特定の分類群に押し込もうとするのは時期尚早と指摘
- 光合成は行わず環境中の炭素源を消費していた公算が大きい
- スタンフォード大学ボイス教授(研究非参加):
- 過去の比較は当時の情報に基づく最善の解釈だったが現在では生命の系統樹全体への理解が格段に進んだ
- 菌類等の複雑な多細胞生物とは独立して進化した可能性を示しているに過ぎない
- パリ自然史博物館セロッセ教授(研究非参加):
- 素晴らしい分析と評価しつつ既知の25種のうち1種のみが対象である点を指摘
- 地衣類のような機能を有していた可能性は依然として残されているとの見解
■ 5. 未解決の問題と今後の研究
- 未解明の点:
- 地面への固定方法が判然としない
- 成長速度が遅いと推測される中で一生直立状態だったかが不明
- 今後の計画:
- プロトタキシーテスに類似した管状生物の化石に関する追跡調査を計画中